平成中村座 三月大歌舞伎 公演情報 平成中村座 三月大歌舞伎」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★★

    勘九郎襲名公演ですが
    仁左衛門様目当てで行ってきました。夜の部です。
    最近、3000円前後のチケット代に慣れてしまったので、歌舞伎の、特に今月の平成中村座のチケットは高すぎると思っていたのですが、やはり観てしまうと、全然高くない。というか、もう一度見たいと思いました。

    傾城反魂香、通称吃又。
    仁左衛門さんの又平に勘三郎さんのおとくという組み合わせは、もうこの先、観られないと思うのですが、本当によかったです。
    「腕も二本、指も十本」のくだりでは、本当に涙が出たのですが……その涙が、引くおそろしいできごとが!

    いえ、大したことじゃないのですが(私的には大したことだった)、石の手水鉢の後側に描いた絵が表に抜けて浮き出てくる、あの名場面で、出て来た絵があまりにもお粗末だったのです。
    まず、なかなか抜けてこないので、大丈夫かしら 「かか、抜けた」に間に合うのかしら とドキドキしていましたら、出て来たのが、昔、私が落書きで書いたツルハマルマルムシみたいな顔(笑)
    筆を持った手だけがやたらはっきり書かれていましたが、あとは薄くてふにゃふにゃで見えない。
    あれ、中の人が描いているという話、本当だなと思いました。
    今まで吃又は何回となく観ていますが、今回の絵には衝撃を受けました。笑撃というか。
    とにかく、涙が引っ込みました。が、まあその後はめでたい場面なので良しです。

    土佐将監の奥方の役が無くなっていて代わりに下女になっていたのです。なんでだろう?と思っていたら、わかりました。
    又平が将監から貰った着物に着替える場面、普通ならおとくが甲斐甲斐しく着付けるのですが、おとくではなくその下女が着付けているのです。

    ああ、勘三郎さん、普段こういう役しないから。

    着替える夫を見つめて「いい男だねぇ」とか言って笑いを取っていました。着付けはできませんでしたが(失敬)、その後の鼓は立派でしたよ。


    そして、勘太郎改め勘九郎の御所五郎蔵、仁左衛門さんがご指導されたそうですが、すごく基本に忠実。新勘九郎丈の芸に対する真剣さが窺われました。
    それがややもすると、真面目にやりすぎていて面白みに欠ける。
    というか、ちょっと華がない。
    華だけはある海老蔵と並ぶと、五郎蔵と土右衛門「いい男対決」では負けてしまうところもありました。
    でも、だんだんよくなると思います。まだ初日三日目でしたから。千秋楽近くになると違う印象になると思います。  
    それもあって、もう一度観たいと思ったんですよね。
    (あと手水鉢の絵の進化にも期待・笑)

    この演目では、笹野高史さんが出ていて、とてもいい味出していました。大向こうさんからも、ちゃんと「淡路屋」と声がかかっていましたよ。


    歌舞伎なんで、基本ネタバレというものは無いと思いますが、口上は楽しみにしている人のために隠して下に書きます。

    ネタバレBOX

    中村座の口上、面白かったです。
    やっぱり、ホームでの口上で良い感じの身内の雰囲気からか、砕けていますね。
    初日は笹野さんが大泣きだったと言う話も聞きましたが、この日はどちらかというと我當さんが泣いていました。
    でも、その息子の進之助は勘九郎の足首を誉めたりして笑いを取りにいってました。

    でも本当に笑ったのはこの後、海老蔵が「初日も昨日も勘九郎さんが真面目だ真面目だという話​ばかりなので、今日は真面目じゃなかった話をいたします」と、日韓ワールドカップの時に、勝利に浮かれた勘九郎が、渋谷の信号​機に上って「トルシエ日本ドンドドンドドン♪」と音頭をとったという話​をし、「勘九郎さんは真面目だけでなく、はじけることもできる素晴​らしい男でございます」と笑いをとったら、その直後の仁左衛門さんが​「変なことをいってるのがおりますが、勘九郎は大変真面目でご​ざいます。役者が芸に真面目なのは当たり前ではございますが、中​にはそうでないのもおります」って。
    となりで海老蔵が頭を下げているから、いかにもあてこすりという感じでおかしかったです。
    仁左衛門さんのこういう口上は初めてですね。珍しいやり取りを見せていただきました。

    勘三郎さんは、何かど忘れしたのか、後半グダグダになってましたが、それも御愛嬌。とても楽しい口上でした。

    この後見た方には、叱られた海老蔵が翌日以降はどんな口上をしたのか教えていただきたいです。
  • 満足度★★★★

    口上は、身内意識で、涙涙でした
    先代勘三郎さんの時から、中村屋さんと我家は親交が深かったため、勘太郎君が勘九郎を襲名するなんて、何だか、身内の襲名のようで、楽しい口上なのに、ずっとウルウルしてしまいました。

    まず初めは、通称、吃又。仁左衛門さんと勘三郎さんで、この演目というのは意外です。仁左衛門さんは、本当に何を演じられても秀逸極まりなく、それを観ているだけで、幸せになれます。

    たまたま今日の「徹子の部屋」のゲストでしたが、「役者には、褒め言葉が大敵。自信は必要だけど、自惚れはダメ」というようなお話をされていて、でも、私が知る限り、仁左衛門さんは、幾ら褒めそやされても、奢るところのない、常に進化を続けれている稀有な歌舞伎役者さんだと尊敬します。
    勘三郎さんとは、信頼して連れ添う夫婦の愛情が滲み出て、素敵な夫婦ぶりでした。

    夜の部は、この演目があったので、格調が保たれた気がします。 

    勘九郎襲名の口上は、何と笹野さんまで列座するフランクな口上で、大変和やかで、観ていて気持ちのよい口上でした。勘三郎さんの親心が心に沁みました。

    御所五郎蔵は、やはり、現段階では、勘九郎さんには、向かない役のように感じました。
    彼の生真面目さが、芸にも役作りにも不向きな印象。まだ、型に拘って、硬さが出てしまいました。一方、海老蔵さんは、いつでも自己流だなあと、ある意味、役者の器なのかな?という感想を抱きました。
    しかし、何度も観ている演目ですが、ここに登場する逢州さんは、あまりにもお気の毒。いつも、彼女の死には、泣かされます。だって、ただただ善意の人なのに。親切が仇になる見本のような役柄ですよね。七之助さんの逢州、なかなか味わいがあって素敵でした。

    元禄花見踊は、ついこの間まで、子役だった5人の競演。中でも、橋之助さんの三男、宣生さんは、踊りの素質がずば抜けていて、将来が楽しみでした。
    最後に、スカイツリーが舞台後方に見える趣向だったようですが、私の席からは見ること叶わず、残念でした。(座席の表記が弾かれて、何度もエラーが出るので、正確に書けませんが、本当は、右1列ですので)

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