しみじみ日本・乃木大将 公演情報 しみじみ日本・乃木大将」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    ラストはしみじみ
    よくこんなことを思いつくものですね。

    ネタバレBOX

    みんなから無能呼ばわりされていた乃木大将、天皇に心酔していた乃木大将、そんな彼がこれから殉死するであろう理由を馬の前足と後ろ足が探っていくお話。

    馬にも上品な馬もいれば下町職人風な馬もいて楽しく、また前足が偉いとか後ろ足が大事だとか、こっちの方も笑ってしまいました。

    乃木大将がはけて、前足から風間杜夫さんが出てきたときはあっと驚きました。うっかりさんでした。その風間さんですが、途中から噛みまくりで吉田剛太郎さんからも突っ込まれ、そんな日もあるとはおっしゃっていましたが、私も非常に不満足でした。ラストシーンで馬を被るときももたもたしていて正直今一でした。

    西南戦争植木坂の戦いで乃木希典が軍旗を奪われたことによって、それまで重要視されていなかった、というよりむしろ邪魔者扱いされていた軍旗が天皇の分身の地位にまで高められたこと、そして死にたがっていた乃木を思いやり、不始末の代償として彼の命を天皇が預かったこと、これが殉死の要因でした。

    大臣がコメントするときなど日本国旗に頭を下げないと批判される風潮はこのときに作られたのだと思いました。それ以前は、お芝居ではお茶がこぼれたときに軍旗で拭くくらいの扱いでした。それもどうかとは思いますが、旗が偉いわけじゃない、それくらいのおおらかさを取り戻してほしいですね。

    乃木は大逆事件の管野スガが乗せられた馬車とすれ違った際に鼻で笑ったそうで、これに怒った赤虻が乃木の愛馬を刺して乃木は落馬したそうな。様々なエピソードを混じえて話は進みます。

    宝塚ネタを宝塚出身者お二人でやられると、ホント笑ってしまいます。

    大喪の礼の大砲の音が聞こえる中、乃木夫妻が殉死したであろう様子が窺い知れるとき、しみじみしました。

    ところで、セリフの中で早急をそうきゅうと発音していました。そうきゅうと言う人も多いのが現実ですが、日本語を大切にしていたと思われる井上ひさしさんのことですから、ここはさっきゅうだろうと思いました。
  • 満足度★★★★

    お芝居でこんなに笑ったの久しぶりかも
    初日、2時間40分(休憩15分含)。有名俳優がとことん“馬”鹿を極めるドタバタ喜劇に一瞬ひるむも、明治の日本(軍)を過激に風刺する術とわかると、唸るしかない。デフォルメ宝塚に爆笑!朝海ひかるさん、香寿たつきさんがお好きな方は必見かと。

    ネタバレBOX

    何かにつけ、下半身が馬のぬいぐるみになってるのが、可愛らしい。
    連隊旗を天皇(神)であるとして、軍の士気を高める(洗脳する)道具にしていたとのこと。私も学校行事で国旗(日の丸)を見上げてきたなと。
  • 満足度★★★★

    風間さん、お疲れでしょうか?
    予備知識なく行ったので、まずこういう設定のお話だったのかと、ちょっと驚きました。

    アイデアがいいですね。

    縦横無尽な吉田さんの快演ぶりに比べ、主役の風間さんが、お疲れなのか、台詞をとちったり、動きが鈍かったりで、ちょっと心配になりました。

    元宝塚の朝海さん、香寿さんには、愉快な見せ場が用意されていて、ファンの方には嬉しい場面だと思いました。

    出演者の年齢も高く、題材も題材だけに、還暦間近のこの私が、最年少かと思うような客層には、ちょっと残念感がいっぱいでした。

    囃し歌など、ちょっと長過ぎるようにも感じましたが、作者が亡くなってしまったのですから、もっと短くというのは無理な注文ですね。


    ネタバレBOX

    乃木大将と夫人が退場した後、3頭の馬の中から、6人のベテラン俳優さんが次々と顔出しした時には、ビックリしました。そして、その中に、乃木大将だった風間さんもいらしたから…。してやられたりの快感あり!

    馬の前足と後ろ足が、それぞれ、自己主張したり、違う馬と徒党を組んだり、面白おかしく見せながら、徐々に、この芝居の本質に気づかせて行く、井上さんの構成とアイデアに唸ります。

    風間さんは、ちょっとお疲れ気味でしたが、その他の役者さんが、それぞれ、楽しげに、役を演じていらして、それを拝見しているだけで、幸せな気持ちになれました。

    特に、吉田さん、山崎さん、大石さん、根岸さんが、与野本町から、テイクアウトしたいくらい、素敵な演技を見せて下さいました。

    7、千田少尉の報告場面の、朝海さんの児玉源太郎、香寿さんの山県有朋は、宝塚男役様式で演じれらるので、塚ファンの方には、ご馳走場面だったと思います。
    9、将軍たちのお茶の会のシーンでも、お二人の宝塚演技は、大ウケします。
    朝海さんは、退団されてからの女性役しか存じ上げなかったのですが、意外にも男役の方がキャラ立ちされる方なんだと認識しました。

    最初はぞんざいに扱われていた連隊旗が、天皇の分身として、崇められる対象に変容して行く様は、喜劇タッチでありながら、深く考えさせられる問題をたくさん含んでいたように思います。

    改めて、こういう難しいテーマを、笑いに転じて、観客に提示できる稀有な劇作家が他界されてしまったことが、心から無念に思えてなりませんでした。

このページのQRコードです。

拡大