切り子たちの秋 公演情報 切り子たちの秋」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★★

    あの当時の
    (私には)下丸子、矢口の渡付近の風景が思い浮かびました。

    ネタバレBOX

    町工場、大手の孫会社、ひ孫会社の雰囲気がよく出ていました。不況下における仕事のなさ、取引企業の倒産、NC旋盤、マシニングセンターの登場、ほんとそうでした。

    企業経営、技術革新、親姉妹の関係、恋の話、様々なことが絡み合い、素晴らしかったです。

    姉の夫は元佐久間製作所の工員で、優秀だからこそ父親に追い出されて大手工作機械メーカーへ転職した人物でした。付き合いは途切れていたものの、ジリ貧になるであろう将来を考えて佐久間製作所を工作機械メーカーの工場敷地にしないかという話を持ってきます。

    しかし、技術に自信を持っており、攻めの営業をすることで活路を見出そうとして誘いを断る妹、この工場が平成の今も残っているかは分かりませんが、技術があるしきっと残っているだろうと、そして残っていてほしいなとつくづく思いました。
  • 満足度★★★★★

    流石は青年座
    恥ずかしながら、切り子(キリコ)って人の名前かと思った。そしたら金属を削ったときに出る螺旋状の金属くずのことだって。いあいあ、まだまだ勉強が足りませんな。苦笑!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/


    舞台は1974年秋、東京都大田区にある従業員がたった2人の佐久間製作所。流石は青年座です。セットの作りこみが素晴らしい。物語は下町で起こる人情劇だ。

    亡き父親のあとを継いだ出戻りの幸子と職人たちの熟練で細々となんとかやってきた町工だったが、親会社の倒産によって諸に打撃を受けた佐久間製作所は工場の存続の為に駆けずり回っていた。そんなある日、光子(幸子の姉)は杉山(光子の夫)を連れ立って実家の佐久間製作所にやってくる。

    それは、小さな工場が集るこの一角を新しい工場町として立て直すことだった。「もう町工場の時代じゃないんだよ。コンピュータがあれば職人なんていらない」と、技術革新の波を引っさげて土地買収にやってきたのだ。

    従業員も家族同様の扱いをされて和気藹々と頑張ってきた佐久間製作所は大きな帰路に立たされるも、幸子は姉夫婦の提案を頑として受け入れることが出来なかった。それは亡き父と姉夫婦の間で過去に起こった出来事を含め、姉夫婦の考え方に共感できなかったからだ。そして何よりも幸子自身がここでの暮らしを幸せと感じていることだった。

    そんな幸子に職人の伸吉はプロポーズのような言葉、「二人で一緒に工場を続けて行きませんか?自分ももっと最先端技術を習得します。」と告白し、これを受けて幸子は大きく頷く。町工を営む昭和の家族にも温かな明るい日差しが射した場面だ。

    職人たちと家族の絆を描いた物語だったが、全てのキャストの演技力が秀逸で、町工の風景を鮮やかに彩っていた。満夫を演じた山崎のキャラクターにも笑わせてもらったし、舞台上に立つ役者の役年齢も相応で違和感がないというのが観ていて自然だった。
    ほのぼのとしたいい物語だと思う。

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