センの風とムラサキの陽【8/8池袋演劇祭CM大会・最優秀賞受賞!】 公演情報 センの風とムラサキの陽【8/8池袋演劇祭CM大会・最優秀賞受賞!】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-9件 / 9件中
  • 三度目の正直。
    三度目にして正直になったのではなく、彼らの場合は正直を続けて三度目。見せ方として様変わりしてきた部分もあったけれど、それらは過去の在り方を正す為ではなく今現在として相応しいものを見付ける為。常に正直。

    ネタバレBOX

    四度目は彼らがもう一段上がってから観たいので、しばらくは伝家の宝刀として大事にしまって置いて欲しい気持ち。客席数の多い劇場になった今、かなり前の作品の再演なども観てみたいですね。それに関しては大胆リメイクとかで。
  • 満足度★★★★

    炎童子が象徴する「もの」
    前半の劇団関連のパートが予想外にユーモラスなだけに「この人たちも…」な感ひとしおな上に終盤で「あの日」が近付くにつれ胸が締め付けられる。
    また、冒頭の劇中劇で炎童子(えんのどうじ)が象徴する「もの」が核兵器だけでなく原子力エネルギーに思えてくるのは今ならではか?

  • 満足度★★★★

    余力を残して・・・
    池袋演劇祭優秀賞受賞の凱旋公演の形をとった再演もの。正確には三演ということらしいが。

    古色蒼然とした旧公会堂のような南大塚ホールだが、戦時中が題材のこの作品にはふさわしい雰囲気かもしれない。

    作者は大変気に入っている作品らしく、自ら代表作になるだろうと書いている。

    秀作であるのは確かだが、今後、上演を重ねていくほど、さらによくなっていく可能性を秘めた作品だと思う。

    逆に言えば、まだ不満に感じる点もあるということ。

    役者の演技には文句がないが、脚本の人物描写はまだ練る余地があると思う。

    昨年、個人的には☆4つの評価だったが、今回も再演でやはり昨年と同じ点が気になった。

    今回、一番感心した点は、俳優が箱の大きさに合った芝居をしていたという点。

    小劇場劇団の場合、それがひとつネックになるのだが、見事にクリアしていた。

    いつもは多少オーバーに感じる主役・丹羽隆博の演技が、大劇場ではちょうどよく見えた。

    ネタバレBOX

    昨年、冒頭の球技(?)がとてもよかったので今回どうかと思っていたら、球技とアクロバティックな動きを組み合わせ、より大劇場に合ったオープニングになっていた。

    作家の森山智仁の昨年の解説によると「史実の再現ドラマではなく、あくまでフィクションなので」ということだった。

    まぁ、そうなのだが、今回も気になったのは、重要な任務を担う役柄、研究者と新聞記者4人とも女性と言う点。この時代、男性が戦地に行っているとはいえ、やはり不自然に感じてしまうのだ。

    今回は出演者も増えたが、全体としてやはり女優の数が多い。
    しかも、研究者と新聞記者は1人ずつ役が増え2人ずつ出るが、またも女性なのである。

    小野教授の田仲晶は昨年に続く好演で、食堂の娘だった雨宮真梨が今回はもう一人の研究者役に変わった。
    既婚を装い、実は未婚という昨年の設定はなくなり、筋がすっきりした。

    新聞記者・神出を昨年好演した金子優子が今回は神出と炎童子の2役を演じた。
    そのぶん神出のウェイトは多少軽くなった。

    炎童子は原子力の炎ともいえるのかもしれない。
    もう少し演出面で強い印象を持たせたほうがよかったと思う。
    ラスト、出撃の場面で、晴生(丹羽)との対決が観たかったのだが。

    大門少佐は、昨年の石井雄一郎から西郷豊に変わったが、貫禄があり、適役だった。

    陸軍中尉の杉本仕主也も、所作が軍人らしくてよかった。

    研究室の学生が2人とも急に海軍を志望して簡単に入ってしまうのもひっかっかる。
    晴生が入隊前夜「明日、飛ぶということもある」と話すが、入隊して訓練もなしにそれはありえない。

    学生の会話に「何ビビってんだよ」や「やべぇ」と現代語が入るのも、いつもの現代語の時代劇では気にならないが、戦時中では気になる。一考されたし。


    村崎座の座員も戦意高揚劇団にいるとはいえ、この時代なら軍需動員は当然あったはずで、せめて会話に出すくらいあってもよかったと思う。
    そうでないと、まるでサークル活動みたいに好きなことをやって過ごしているふうに見えてしまう。

    座付き作者が軍事機密まで知っているという設定も前回同様気になった。

    村崎座の蒙古襲来の芝居も、陰陽師と炎童子が出てくるので複雑になった印象。

    座付き作者の稲垣佳奈美の柝の打ち方がよい。案外、ちゃんと打てない俳優も多いのだ。

    舞台美術は、予算との兼ね合いもあるだろうが、前半の部分などもうひと工夫ほしかった。

    ラストの灯篭流しの部分はなかなか美しい演出だが、小野教授が花をみつけるところの晴生との場面、花にスポットライトが当たる時間が長いわりに、中途半端に幕が下りてしまう感じでもう少し丁寧な終幕にしてほしかった。

    昨年は小野がこのあと長崎に行き今生の別れになるという設定なのだが、今回、花が咲いてると、原爆投下直後なのかどうか?、時系列が混乱する。
  • 満足度★★★

    日本が原爆を持ったら‥
    南大塚ホール(キャパ300)というやや大きめな劇場で、セットもしっかり創られた力作という感じ。ただ、戦争(原爆)というテーマをシリアスに扱うにはもう一皮化けてほしいかも。内容はけっして悪くはないと思うけど。

    役者は、大学教授役の田仲晶が一番良かった。主役の丹羽も力演していた。
    今後、快作になることを期待して☆3で。

    ネタバレBOX

    広島の大学内で原子爆弾の研究をしているチームがあって、名越(丹羽)はその一員。姉・深雪(辻)は、地元劇団(村崎座)の一員。そこに、軍関係者も加わり、それぞれの想いをからめて、原爆投下までを描く(時間的には、特攻前日の兄弟の語りから特攻の日まで?)。

    劇中劇(元寇)と実際のカミカゼアタックを並行して表現する構成は、演劇的で面白い。わかりやすいし(パンフにここらへんの説明があったのは○)。蒙古襲来=アメリカの爆撃、炎童子(金子)=原爆とかおもしろい発想だと思う。
    ちなみに、その炎童子がキャラがわかりにくかったというか定まっていないような感じがした。衣装が平坦(普通)な気もしたし。神秘性とか要素を一つ盛ってほしかった。

    クライマックスからラストまでが一番の見せ場と思うけど、ここらへんに、戦争中の「死」(もしくは生)といった要素を色濃く描いてよいような気がした(戦争とは悲惨なんですよーという話にしたくないのかもしれないけど少なからず客はそう観てしまうところがあるのではないか)。アメリカの原爆投下の恐ろしさの描写ももっと怖くてよいかな。グッとくる何かが足りていない気がしたのが残念。

    時間をおいて再改訂してさらに素晴らしい作品にできると感じた。
  • 満足度★★★★★

    無題117
    「メゾン・ド・ウィリアム」「花ざかり」に続いて3作目です。受付後、ロビーで待つ間、映っているDVDは「メゾン〜」…持っているのでした。開場時間になり、中ヘ。舞台が高いのでちょっと考えますが、フランス座東洋館で少し後ろにしたとき後悔したので、やっぱり1番前。深く座ると目線より高いですね。でも、役者さんに近いほうが好きなので。

    先日、「赤紙と徴兵105歳、最後の兵事係の証言から」「太平洋戦争最後の証言第1部零戦・特攻編」を図書館で予約したばかり。零戦…上野の科学博物館でしかみたことがありません。その冷たい機体からは、轟音を放ち、プロペラによって自らを空の戦場へ駆り出した'時代'の声は聞こえてきません。目覚めてはならないマシーン。ほんの少しの思い入れを抱きながらの観劇でした。続く。 

  • 満足度★★★★

    戦争とは
    自由席だったため、一番前のど真ん中の席で観劇いたしましたw
    戦争についてあまり深く考えて過ごしてこなかった僕のような人間に、考える機会を与えてくれて、これも演劇のよい所だなと改めて感じました。
    もちろんお話自体も興味をそそられる内容で面白い。
    そしてバッコスらしい殺陣も健在でした。

    ネタバレBOX

    仁科の特攻志願の理由に胸を打たれました。
    また最後の暗転中の舞台転換は圧巻でした。
  • 満足度★★★★

    いいお芝居でした
    昨今の演劇と違ってすごくお芝居らしいお芝居でした。そしてメッセージ性が強い。それは、戦争反対とか、過去の反省とかいう物ではなく、この悲惨な時代に生きた人々よりも現代人は幸福なのか、より美しく精一杯生きているのかという問いかけのようなもの。劇団のスタンスなのでしょうね。でも役者さんの上手さと脚本のよさで押し付けにならずに問いかけになっているところがよかった。今回の南大塚ホールは残念ながら音響や照明が古く不満も残ったが、きれいな台詞、よく通る声で観客を惹きつけて離さない。広い舞台で重層的に演じられる物語りやエピソード、劇中劇も上手く構成され、混乱するということが全く無く、素直に感動できました。特に最後のシーンの美しさは秀逸。席を立ちがたいほどでした。満員の会場の拍手鳴り止まず。

  • 満足度★★★★★

    さすが優秀賞受賞作品
    スピード感のある展開。一瞬も目が離せないほど集中しました。
    舞台上で2つの、時には3つの場面が平行に移行しながら展開していくさまも川の流れが次々と支流に流れ込むかの如く自然で、すんなりと理解可能でした。
    魔法の演出!と呼びたいくらいすばらしかったです。
    何と言っても圧巻は静謐で感動的なラスト!これは今まで観た劇のなかでも最強!

  • 満足度★★★

    サイドストーリーにもう一歩の膨らみを!
    初日という事もあり、まだ芝居と劇場が仲良くなっていないような印象をうけました。演劇祭で優秀賞を受賞した昨年と同条件で観たかったなぁ…というのが観劇後の素直な感想です。非常に切なく、何度も涙を誘われそうになった作品でしたが、個人的にはもう一歩な感じでそこまでいきつけませんでした。うーん、残念。もうちょっとサイドストーリーに膨らみがあったら良かったのかぁ、とも。全てのドラマを主人公の役一人にに背負わせすぎかなという気もしました。せめて姉弟愛の部分はもっと魅せて欲しかったですね。あ、あとコレは好みかもですが、個人的にはやっぱり広島弁でやって欲しかったです。

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