いえずすあるいはあしをあらえあるいは、あい 公演情報 いえずすあるいはあしをあらえあるいは、あい」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★

    太宰治の短編小説「駆け込み訴え」
    イエスを裏切ったイスカリオテのユダを描いたものだ。舞台は序盤、吾妻の一人芝居に徹する。後半は丸房のリーディング。太宰の小説を読んでない観客は少々退屈かもしれない。それでも、なんとな~くだがクリスチャンの観客が多いような気もするのだ。ちなみに煙草が苦手なワタクシはこういった観客スタッフ諸共フリー喫煙ゾーンの芝居は観たくない。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    冒頭の「申し上げます。申し上げます。」から始まって、イエスのことを密告する商人ユダの話が展開される。憎悪の訴えを始めたにもかかわらず、次第に「どんなに彼を愛しているか」という告白話にすり替わりイエスの愛に気づき、そしてイエスの足に香油をかけたマリアに嫉妬しているかについての話になる。

    しだいに、気がつかなかった本当の自分の本性に怖れおののき、どんどん自分を見失っていくのだ。しかし、「しようとしていることを、今すぐ、しなさい」とユダに敢えて自分を裏切らせたイエス。

    この場面は聖書や数多くの舞台で演じられている「イエスは自分が十字架に架かりたかった。」のシーンだが、ユダはイエスを愛していた。愛したがゆえにイエスを売ったと言われている。

    この場面をユダの告白として描写させていたから、芝居の主役はユダなのだが、正直申し上げて評価は観客の好みに割れると思う。大劇場や劇団四季でもこれらのシーンは公演されたがそれは登場人物の多さとスケールの大きさ、そして演劇らしい演劇をアピールしていた。

    今回は演劇というより、集いのような感覚で、好きな人には堪らない密度だろうけれど、やはりワタクシ的にはちょっともの足りなかった感はある。後半のリーディングはもうちょっと工夫が欲しかったところだが、吾妻が窓を開けて下の者に聖書らしき言葉を叫ぶ場面は、絶好調に楽しかった。まるでキリストが説法でもしてるようではないか。笑

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