しゃぼんのころ 公演情報 しゃぼんのころ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★★

    記憶の中のリアリティ
    それは、今を観る目にとっては
    まとまりに欠けたものであっても、
    記憶のスケッチという視点からは
    とても精緻な造形の描写なのだと思います。

    いくつもの感触が
    あるがごとくに伝わってきて
    息を呑みました

    ネタバレBOX

    中学校の風景、
    冒頭から様々な記憶の断片が
    コラージュのように繰り返され
    ジグゾーパズルのピースが埋まっていくように
    とある三日間が観る側に広がっていきます。

    同じ時間が何度も繰り返されたり
    同じ事象の視点が変わったり
    時間が行き来したり
    一つの事象からいくつかの事象が広がったり・・・
    その時間の外側の出来事が挿入されたり。

    それは、あたかも記憶達の反芻の
    細密な描写のように思える。
    その再生から伝わってくる
    事実ではなく感覚としてのリアリティに
    次第に取り込まれていく。

    表現される個々の想いが
    ステレオタイプにではなく
    あいまいに
    なんとなくわかりだしていくような感じに
    前のめりになる。
    感じると理解するの中間あたりに
    いろんなものが置かれているよう。

    野宿、彼氏の部屋、学校のこと、
    上履きのサボテン、トイレでのおしゃべり
    晴れでもりでも雨でもない天気。
    なんとなく息がつまるけれど
    でも溢れてしまうほどでもない、
    やわらかく行き場なく閉塞した感じ・・・。

    縮れた赤毛の女性が出てくる小説(第七官界彷徨)の
    作家から取ったというミドリという猫の存在が暗示的で・・・。
    いつか見たというどろどろになった猫と重なっていく、
    記憶の重なりから醸し出されるような
    第七官界での感覚に取り込まれて・・・。

    たくさんの感覚が
    流れ込んできて
    それが単純にまとまることなく
    クラウドのように心に広がっていく。

    終演しても
    その感覚のアドレスが見つからず・・・。
    にもかかわらず、占有されふかく浸潤された感覚が散らず、
    しばらく席を立つことができませんでした。

    ☆☆★★★




  • 満足度★★★★

    疲れた
    普通の観劇では使わない労力を使わないと今回の芝居についていけなかった。
    あまり目は肥えていない私ですが、“しゃぼんのころ”凄まじかった。

    ネタバレBOX

    いきなり喘ぎ声から始まる。
    その声がすごく魅力的だった。
    世の中には色々な人が居て、それぞれに理由があり行動している。
    これはとある人からの受けうりだけど、あんなにも人の、人間の感情を掘り下げて、なおかつそれは1人に留まらず、出演していた役の全てに目を向ける。
    もしかしたら人に限らずもっと広範囲に及んでいるのかもしれない。

    まぁ、ここまでは思い描く人もいるかもしれない。
    だが、作・演出の藤田サンはこれを2時間枠に収めてしまい、時間が少ないと言う中で、まったく内容が薄らいでいない。
    ……凄過ぎる。
    誰しもが持っている中学生の時間。
    意地を張ったり、些細な事で怒ったり、あの頃は喜怒哀楽のオンパレードだ。
    それをあんな形で見せられたら、そりゃ泣きますわ。

    女子の制服もオリジナルで造ったらしく、とても良く彼女達を引き立たせていた。

    灯り一つを点けるだけでも理由がある。

    藤田サンが創る芝居には、一切の無駄がないと私は思う。

  • 満足度★★★★

    vividな印象派演劇
    一言で表現すれば「vividな印象派演劇」。
    中学時代に「あるあるあるある」な会話や出来事を変幻自在に時にシームレスに時制を超えループさせたりもして見せる中に各人物の本質がくっきり浮かび上がる瞬間があってゾクゾクしてしまう。
    ストーリーを追うムキには決して薦められないが、個人的には支持。

  • 満足度★★★★

    淡く、儚く、そして。
    前作よりも、論理的、技巧的な部分が薄らいでいて、もっと行間を感じられる、やわらかに綴られた素敵な物語に。その肌触りゆえに、基本的にはとても暖かで気持ちのよい時間を過ごせたのだけど、でもそれだけでなく。

    ネタバレBOX

    最初は、少女たちが小鳥のように囀るような会話を、どこか懐かしさや憧れをもって心地よく聞いていたのだけど、そのうちだんだんと“あの頃”の自分がかすかに甦ってきて、ようやく感じはじめた他人との距離への戸惑い、急激な身体の成長と同調するような閉塞感、まるで先のみえない不安な気持ちなどを思い出す。
    それはほんとはじつは些細で他愛ないことばかりなのだけれど、それでも簡単に押し潰されそうになったことなどを。

    だから絶対に、あの頃になんかもどりたくないけれど、
    それが儚く消えるような一瞬の、
    まさに「しゃぼんのころ」のような繊細で大切な時間、だったのは間違いない。
    いまはもう、その泡はおおきな海と混じり、すこしも原型をとどめていないとしても。
  • 満足度★★★★

    細い絹糸の束のような
    川辺で野宿をする14歳の少女たちのうたかたの日々を、絡まりそうな危うさを秘めつつ大胆に綾織りをしていくように描写するさまは、まことに見事。全体的に暗喩が巧みで、きりきりしめつけられた。長らく小説の領域だった"少女"というものに真っ向から手を伸ばしていて、鮮烈。
    この作品は、大人(作り手)がふりかえった少女・少年時代を細かく描写したかわり、彼らが世界をどう見ていたのか、についての本質は観客に委ねている気がした。だからいろんなひとが心奪われ、自身のかけらを舞台上に見つけて、絶賛しているのだろう。

  • 満足度★★★

    男の妄想なんんですか
    女の子目線かと思ったのだが。

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