棄憶~kioku~ 公演情報 棄憶~kioku~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
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  • 緻密な
    照明変化は転換時のみ。曲の使用はラストのみ。男七人役者で見せる硬派なストレートプレイ。史上の事件を絡ませて作る物語が興味深い。観る人は選ぶが、確かに観客の心にズシリと重い碇を残していく一時間半。

    青山円形はでかい、というのは確かにあるかもしれない。演劇の良さとして、「逃げられない」というのがある。目の前で生身の人間が汗や唾を飛ばしながら演じている。観客席は所狭しと敷き詰められている。途中で逃げさせる隙間を持たない。映画ならまだ席を立ちやすい。しかし演劇は違う。どれだけ作品で恐怖や悪夢を観たとしても、劇場というのは実に逃げにくい機構をしているである。

    この作品には、「逃げたい」と思わせる力がある。目を閉じ、耳を塞ぎたくなる。ただしそうさせてはいけない。真実は突き付けなくては、生温い日常に遊ぶ観客たちに直視させなくては。そういう意味で、もっと小空間だったら、集中力もより高まり、さらに観客の心を凍り付かせられただろうと思う。

  • 満足度★★★

    役者の鎬の削り合い
    役者の技量が試されるような非常に緊迫した会話劇で、見応えがありました。セットもシンプルで、より演技を引き立たせていたと思います。

    ネタバレBOX

    満州第七三一部隊の生き残りたちを帝銀事件と絡めて描くという、非常に重い内容。人体実験などのあからさまな表現や当時の専門用語が効果的に使用されていたと思います。
    個人的にはブラックな感じの有馬自由さんがツボでした。
  • 満足度★★★★

    役者同士の火花を見る!
     この作品を観ながら、野木萌葱の「東京裁判」を見たときの感動を想い出した。ストーリーの重厚さとか、脚本の質の高さという前に、野木萌葱の作品は役者の演技力を最大限に引き出す芝居であり、観客に役者を堪能させる作りだと思う。

     有馬自由の里中少将にしびれた。

  • 満足度★★★★★

    時代とか信念とか
    観終わった後、善とか悪って一体なんなんだろうと思いながら帰りました。
    重厚な演技に圧倒されました

  • 満足度★★★★★

    重苦しすぎるテーマ
    異常と正常、狂気と正気、悪と正義、本音と建前、戦争と平和、金と愛、信頼と裏切り、責任と無実----どちらか100%ということはあり得ない状況で価値観がぐちゃぐちゃになり、胃が重くなりました。帰る時には皆、無口に。エレベーターの中がシーン。

  • 満足度★★★★★

    確かに異種格闘技戦でした。
    第二次大戦時、満州に実在した「731部隊」の生き残りと、戦後未解決事件としても有名な「帝銀事件」を絶妙に絡ませた物語。キャストの演技は非の打ちどころがなく完璧!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    1948年。廃墟と化した旧陸軍軍医学校跡地での7人の男たちの会話劇。
    かつて彼らは大陸にて丸太と称する、生きてる人間・3000人を研究の材料として人体実験をしていた。この人体実験をしていた医師ら6人と当時の衛生兵の犯した罪を会話劇の中で追っていきながら、過去の物語を組み立て、現在のお互いの立ち位置をそれぞれが見張る、という筋。

    生きてる人間を麻酔もせずにのど仏から臍までをメスで切り裂いて臓器を一つずつ取りあげて、重量を計測して実験した成果や、瓶に収めて標本にした経緯なども表現する箇所があり、案外エグイ。しかしこのエグサはやはり必要な表現だろうと感じた。そのくらい、残酷で悲惨な実験だったのだ。そんな実験を繰り返してきた6人の医師たちは「あの施設は最高だった。設備も頭脳も。殺人じゃない、実験だ。全ては今後の医学の進歩のためにやった。」とのたまう。彼らはその事をずっと秘密裏にしてきたが、池袋の銀行を襲って12人を毒殺した事件から急展開する。その犯人はこの中に居るはずだと、お互いがお互いを勘ぐる。

    物語は始終、シリアスな展開のみ。緊張の連続だった。それぞれの心理的追求とお互いが罪の意識を感じながらも、それを認めることをしない。認めてしまうと一気に崩れ落ちてしまうだろう精神が寸分の差でそこに実在するからだ。金の為にGHQの命令に自らの魂を売った辰沢。細菌兵器や非加熱製剤を絡ませながら、物語は終盤、一気に結果が出るが、その収束の仕方が実にお見事だった。序盤から終盤まで瞬きも出来ないほどのめり込んだ。まさに張りつめた舞台だった。大絶賛!

  • 満足度★★★★

    男優7人の重厚な演技には感服
    専門用語を駆使して会話をしていくうちに真実に辿り着くという設定は、以前観た「コペンハーゲン」のようでしたが…。

    ネタバレBOX

    帝銀事件で使われた毒物は肝臓で青酸化合物を発生させる特殊なものということが公表されていれば冤罪は起きなかったはず。しかし、731部隊の生き残りの彼らは、活動内容を隠蔽するためにも表立って行動できなかった。

    生体実験に対する熟考があれば、ミドリ十字の非加熱血液製剤事件はこれもまた起きなかったはず。

    本当に愚かなこと。

    ただ、会話の中から真実が分かったのではなく、里中元少将がいきなり辰沢元大佐に「犯人はお前だ」的な展開にはがっかりしました。GHQから情報を仕入れたのでしょうが、舞台の外の情報を、しかも一番大切な情報を、唐突に披歴されても困ります。

    なんか会話の中の矛盾点を突いて真実に辿り着くといった手法であれば良かったのにと思いました。
  • 満足度★★★★★

    全てがハイクオリティながら…
    野木さんの脚本、やはり高レベル。ノゾエさんの演出、まるで、図案を見るような計算された人物配置が、作品の重さを生えさせて、秀逸。先日のハエギワ公演でも思いましたが、ノゾエさん、椅子と無地の親友かと思う程、椅子の使い方が絶妙でした。役者さんも、それぞれの役どころをしっかり理解し、体に落とした演技で、文句なし。特に、衛星兵を演じた清水優さんの名演には、心が震える思いでした。扉座の有馬自由さんも、扉座の舞台とは全く異質なキャラクターを見事に演じられて、感服。佐藤誓さんの存在感もさすがで、本当に、私個人には、完璧な舞台を堪能させて頂きました。
    ただ、全く予備知識のない若い世代の観客には、この芝居、どんな風に見えるのだろうという幾分の心配はありました。
    帝銀事件や、中野陸軍仕官学校や、731部隊とかに関して、何の知識もない人がこの芝居を観て、内容をしっかり理解できるだろうかと。
    「丸太」の真の意味も、台詞だけで、想像できるだろうかとか。
    ましてや、後年の非加熱製剤による事件とか、予備知識を補う、語句の説明文などが、当パンに記載されていた方が親切なのではとちょっと、思いました。

    ネタバレBOX

    皆さん、好演でしたが、当時の服装とは若干の違いが気になるところがありました。
    靴とか、大内さんの髪型とか…。
    きっちり、日時と場所が提示される舞台なので、そういった時代考証は必要な気がしました。
  • 満足度★★★

    うーん、青山円形劇場では広すぎ
    今回の作品で改めて
    パラドックス定数の作品は、限られた空間・状況の中で
    輝くことを再確認。
    そういった意味では、青山円形劇場は広すぎ。
    緊張感は伝わってきたが、熱気は逃げていっている様に感じた。

    そして、改めてパラドックス定数のメンバーの演技のうまさ
    (というか脚本の世界観に合っている?)ことを確認。

    こないだ
    パラドックス定数の超傑作!「東京裁判」を観たので
    見る目が厳しくなったが、この舞台も結構いいと思います。

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