マニュエル・ルグリの新しき世界 公演情報 マニュエル・ルグリの新しき世界」の観てきた!クチコミ一覧

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    カーテンコールで、シルヴィ・ギエムをはさんでオレリー・デュポンとアニエス・ルテステュというパリ・オペラ座バレエ団の名花が並ぶところが実にゴージャスだった。

    マニュエル・ルグリの名前を冠した公演は3年前に「ルグリと輝ける仲間たち」のAプログラムというのを見たことがある。ルグリは今年、パリ・オペラ座バレエ団を定年で退職したが、企画公演は退職後も催されるようで、とりあえずはめでたい。

    音楽はほとんど録音テープを使ったが、「アザー・ダンス」と「三人姉妹」の2本だけは渡邉浩子という人がピアノを弾いた。

    ネタバレBOX

    全部で10本のガラ公演。上演時間は2時間ほどなので、1本の長さは10分程度。20分の休憩を挟んだ2部構成。とりあえず演目と出演者を書いておく。

    「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」(振付:ジョージ・バランシン)
    ナショナル・バレエ・オブ・カナダのヘザー・オグデンとギヨーム・コテが出演。初めて見る二人。技術的には安定している感じ。と同時にアスレチックな印象を受けるのは、あまりドラマ性のないバランシン作品のせいかもしれない。

    「モペイ」(振付:マルコ・ゲッケ)
    シュツットガルト・バレエ団のフリーデマン・フォーゲルのソロ。彼は稽古中に首を痛めて、「アザー・ダンス」と「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」には出られなくなったが、この作品にだけは出演。黒いタイツで上半身は裸。主に肩と腕の動きが目立つ踊りだった。バレエダンサーはみんなよく鍛えられた体をしているが、彼の体も筋肉のつき方、体脂肪率の低さがハンパじゃない。

    「スリンガーランド」(振付:ウィリアム・フォーサイス)
    パリ・オペラ座バレエ団のアニエス・ルテステュと、Aプロでフィーチャーされているパトリック・ド・バナのデュオ。アニエス・ルテステュが腰につけている楕円形のチュチュがやけに気になってしようがなかった。ゆがんだシルクハットの鍔のようでもあり、歪曲した土星の輪のようにも思える。ギャビン・フライアーズの音楽とあいまって、二人はまるで踊る宇宙人のようだった。

    「アザー・ダンス」(振付:ジェローム・ロビンズ)
    オレリー・デュポンとアメリカン・バレエ・シアターのデヴィッド・ホールバーグのデュオ。渡邉浩子がピアノで生演奏。曲はショパン。デュオで踊ったあと、二人のソロが交互に二回。濃いめのグラン・パ・ド・ドゥになっていたのがちょっと意外。弦楽器に比べてピアノの演奏は音の一つ一つが粒だっているので、それにあわせて踊るダンサーの音楽性が現れやすい。第2部の「三人姉妹」を踊ったシルヴィ・ギエムとともに、オレリー・デュポンの動きもしっかりと音楽を反映していた。

    「優しい嘘」(振付:イリ・キリアン)
    ルグリとギエムの共演。これは残念ながらキリアンの振付がイマイチだった。

    休憩のあと、

    「マリー・アントワネット」((振付:パトリック・ド・バナ)
    前半に続いてルテステュとバナのデュオ。長い作品の一部なのか、それともこれだけで完結しているのかは知らないが、終盤に赤い照明がともったところでヒロインが断頭台の露と消えるらしいことはわかった。

    「ハロ」(振付:ヘレナ・マーティン)
    アントニオ・ガデスやホアキン・コルテスとも共演したスペイン舞踊の人だというヘレナ・マーティンのソロ。赤いドレスや音楽が道理でフラメンコっぽいわけだ。ルグリに請われて今回の出演になったとのこと。50センチくらいの長い房がついた大きな布(ケープ?)をまるで闘牛士のように操って踊った。

    「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」(振付:マニュエル・ルグリ)
    東京バレエ団の上野水香と高岸直樹が出演。予定されていたフリードマン・フォーゲルに替わって、リハーサル・パートナーだった高岸が出演とのこと。

    「失われた時を求めて」より“モレルとサン・ルー”(振付:ローラン・プティ)
    ギヨーム・コテとデヴィッド・ホールバーグのデュオ。男性二人の踊りというのが珍しい。しかも二人とも着けている衣装が肌色なので、一見裸で踊っているような印象を与える。

    「三人姉妹」(振付:ケネス・マクミラン)
    ルグリとギエムのデュオ。これもピアノの生演奏付。最後を飾るにふさわしい踊りだった。内容的にはなんとなく「オネーギン」に似た雰囲気。「三人姉妹」でも「オネーギン」でもどちらでもいいけど、この二人が主演する全幕ものを見たいと思うことしきり。

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