とりあえず寝る女 公演情報 とりあえず寝る女」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-20件 / 39件中
  • 満足度★★★★★

    感傷ではなく、事実として認めること
    タイトルの言葉のトリックは観るまで気付かなかった。
    始まって初っぱなの調子に、わりとノリのよい家族ジレンマものってな所か?と思って観ていたら、進むにつれ見えてきたのは人は信用するに足らぬという諦めが根底に流れる、ドライなドロドロ人生劇だったというカウンターパンチ。
    あけっぴろげでハードなことにはあまり首を突っ込まないで生きたい自分にとってはピリピリと肌に染みる濃ゆい塩水のような芝居だった。
    観終わって時計をみたら予想以上に時間が経っていてびっくり。
    内容のハードさを前面からは感じさせぬ演出と演技で、笑いも上手い具合に織り込まれ、2時間強があっという間だった。
    個人的にはあのラスト、今年に入って一番印象に残ったラストシーン。
    しばらく引きずりはするだろうが、ああ観てよかったと思えた作品。

  • 満足度★★★★★

    演技をジックリ
    個性的で素敵な役者さんばかり。演技をジックリと堪能できました。台詞の間とか独特な空気が好きです。満足です。

  • 満足度★★★★★

    なぜ
    こんなに素敵な劇団を今まで見逃していたんだろうと、ちょっと悔しくなりました
    家に対する思いも共感する部分ありで
    これからも観ていきたい劇団のひとつになりました

  • 満足度★★★★★

    役者が全員魅力的!
     役者ひとりひとりが本当に上手い。そして何よりその役者のいいところをしっかりと引き出す本と演出である。古川貴義の言葉選びのセンスはますます磨かれてきた。もはや職人芸だ。

     誰もこの芝居を喜劇とは呼ばないだろう。癖の悪い血筋の家系の物語を軸に、人間の弱さや愚かさを肯定もせず否定もせず、ていねいに描写してみせるストレートプレイ。しかし、その描写力があまりに見事なので我々は思わず笑ってしまうのだ。

     登場人物ひとりひとりを見事に書き分け、しかもその一人一人が愚かさを抱えながら、それでいて魅力的なのである。この人物描写の上手さは神がかり的になってきた。名作の誕生である。

     役者では看板役者須貝英の上手さは定評があるが、その須貝英に対抗して、小林タクシー、赤澤ムック、村上直子らが、演技勝負を仕掛けてくる。舞台上で役者同士の演技バトルが観られる作品である。

    ネタバレBOX

     昨年のCoRich舞台芸術まつりで俳優賞を獲得した小林タクシー、王子の佐藤佐吉演劇賞で最優秀主演男優賞を獲得した須貝英、どちらも受賞はダテではないということを見せつけた。
  • 満足度★★★★★

    傑作は時間を感じさせない!
    出色の役者陣を揃えに揃えて、その魅力を最大限に活かしつつ練り上げられた構成。
    前作のハイライトの激論のような見せ場はなかったけど、複雑な人間関係がもつれにもつれて、全てがひも解かれるわけでもなく、でも暖かく迎えるラスト。
    2時間15分というのが嘘のようにあっという間でした。

    ネタバレBOX

    役者さんはどの方も魅力的でしたが、演じる姿をはじめて見た赤澤ムックさんのガハハ系のおばちゃんが可愛らしくて魅力的でした。

    変態な役を演じる小野哲史さんも本当にいやらしくて嫌な感じに。
    同じく変態な小林タクシーは安定して面白すぎ。
    爺隠才蔵さんの、居るだけで空気を作り出すトボけた存在感が今回は更に効いてました。正にドラえもんチックで、憎めないキャラなんですねえ。

    そんな変化球キャラに対して、本格的なストレート演技で対抗する須貝英さんの存在はやはり特筆もの。
    村上直子さん、、片桐はづきさんの姉妹は対立しあいながら、異父姉妹でありながら、本当に姉妹に見えてきます。

    玉置玲央さんは前半あまり出てこないし、使い方が勿体ないなあと途中まで思っていたのだけど、クライマックスで実は彼女の妹に手を出していて、しかもその妹が処女だった時で、そのたった1回の過ちが引きずられてこの家の関係を複雑なものにしているというキーポイントとなる役で納得でした。

    Corichはこの作品を舞台芸術祭にエントリーしなかったことを後悔するべきと思います。
  • 満足度★★★★★

    長く記憶に沈殿しそうな気配…
    初めて拝見した劇団でしたが、おそらく忘れられない芝居になってしまう予感がします。
    しかも、時間がたってから、思い出してしまうような。
    おまけに、「あんたは、それだからダメだ」というようなトーンで。
    いや、困ったなぁ・・・とうれしくなってしまう作品でした。

    なお、個人的な興味でいうと・・・
    「とりあえず」や「寝る」があふれたシーンの中で、まあそんなことはしない・・・あるいはできない風の役を演じられていた女優・真下かおるさんが、自分にはとても印象でした!

  • 満足度★★★★★

    寝るどころの騒ぎじゃない
     前説で、「とりあえず、寝ないで下さい」と冗談めいた注意事項がありましたが、面白すぎて寝るどころの騒ぎじゃない(笑)。
     それぞれに語りたくない過去や秘密をかかえながら日常を過ごしています。立ち退き問題やら母親の死という重大事に際し、それらの過去や秘密が見え隠れしてくるのがとてもスリリングでした。同時に笑いの多い舞台でもあり、これは居候の叔父さん、自治会長の丹波さん、ペン友の榊千代海という第三者による笑いが多かったですね。シリアスな当事者にコミカルな第三者というのがよい。。
     緊張と緩和の按配が絶妙。だから135分退屈するどころか、短くさえ感じました。

  • 満足度★★★★★

    親睦会長のいかがわしさ
    役者が皆いいですねぇ。恒例の前説は、いまいち。

  • 満足度★★★★★

    今更感想ですが
    はー!!

    なんかこう最初はゆるーい感じで、笑いどころが散りばめられてて凄く気軽に見れたんですけど、後半に進むにつれて緊張感が高まり息をつめて観てしまいました。
    史上最悪のバッドエンドになるかと思ったよ。怖い怖い。

    役者陣の演技はとっても自然で、変なキャラクターなのに説得力があってリアルという、一見矛盾しているような不思議な均衡でした。
    だからこそ笑えるし緊張感満載で、2時間15分の濃密だけども全然飽きないしすごく面白かった。

    叫んだあとに気絶するように寝る真理が痛々しかった。なんかこの姉妹には幸せになってほしい。

    赤澤ムックさん好き。

  • 満足度★★★★★

    タイトルも意味深長でしたのね
    どこでもパタッと倒れて寝てしまう女の人の話なんだ。
    と思わせといて、話がどんどん回転していくと。
    妙な人間関係や、立ち退き話に、姉妹の確執。
    いろいろ詰め込みつつ、見事に纏め上げた傑作でした。

    ネタバレBOX

    「ガム食べる?」とか「チョモランマ仕様」とか、
    その場限りの言葉遊びでなく、繋がっていく所に脚本の上手さ感じました。

    また暗転にて時間経過出す時の、暗転時間の短さと、
    あわせたBGMの巧みさには脱帽モノの職人芸を感じました。
    ラストのガランとした部屋への、素早い転換インパクトは強かったです。

    ここがオチになるんだ、と思った抱擁シーンから先の展開。
    桜吹雪と、姉妹の影。で再開。この流れには、
    演出の手腕に感動しました。
    オープニングの雪から始まってだし、対比も見事でありました。

    登場人物たちの個性、演じきった役者さん達にも拍手。
    らしさが良く出ていましたね。
    普段着に、スーツ。穴の開いた靴下など。
    シーンシーンでキチンと着替えたり。
    どこぞのファッションショー並に早着、早脱ぎが大変だったのでは?
    と陰の苦労を思ったりもしました。
    衣装にも個性出してましたし、細かいところも手を抜いてないのが、
    芝居という作品に磨きかけていましたね。

    惜しむらくは、中央で観なかった自分のミスが悔やまれます。

  • 満足度★★★★

    要するにマイファミリー
    みな兄弟!ってな感じの内容。コメディかと思ったくらい笑った!笑った!爺隠才蔵の登場で笑い、ってかこの役者、初めて観たけれどものすっごいインパクトある。この名前は本名じゃあないよね?笑。劇中、押入れの中で生あくびはするは、本番中なのに何だか自分ちの炬燵にでも入ってるような緩さ!演技なんだか、図太いんだかよく解んない。笑。
    小林タクシーは相変わらずの絶妙な演技!そして今回の目玉はなんといっても赤澤ムックだ。実にいい。とにかくいい。笑の半分は彼女が取ったようなものだ。舞台セットが美しい。。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    当日の配ったパンフには幼児を犯してるような絵図がある。これを見た瞬間、「とりあえず寝る女」の「寝る」とはこっちの「寝る」かぁ・・。と感じる。

    物語は二人の姉妹を軸に動く。今は亡くなった母の血の継承なのか、妹・殊は誰とでもHする。男にとっては都合のいい女だ。男が彼女を見たとき軽んじてもいい女だと判断してしまう何かが潜む。この女ならぞんざいに扱っても踏みにじっても大したことではないと思わせてしまう何か。そして、そのことを彼女自身心のどこかで知っていると察知させてしまう何かが彼女にはある。だから男が隙間なく寄り付く。寄り付くたびにヤラせちゃう殊。

    一方で姉・真理の恋人・椎名も一度だけ殊を抱いた。この過ちを真理は知ってはいるが椎名を許せなくも嫌いになれない。突き放して切ってしまえばいいものを椎名を好きな真理は「信じることが出来ない。」といって悩み葛藤する。宙ぶらりんなのだ。好きだけど信じられない。どうして裏切ったのか。と引くことも進むことも出来なくて、だからといって切ることも出来ない。それでもただただ、傍にはいてほしい。

    そして過去に真理は種違いの殊の父親に犯されていた。こんな環境の姉妹が暮らす家に立ち退きを進める役人と親睦会長、叔父さん、姉妹の恋人ら、近所のカフェ経営者、受験の為に上京した親子が絶妙に絡む。この受験の親役の赤澤ムック扮する代海が大概のバカさ加減で会場を笑わせる。

    「誰とでも寝る女」と烙印を押された妹と、姉との感情の交差と距離感がなんとも切ない。切ないけれどここで関わる男女の関係はぐちゃぐちゃなのだ。(苦笑)
    この物語には結論はない。引っ越して行った姉妹には相変わらず恋人たちが付いて行ったのかどうかも解らない。だけれどこの二人を飲み込んでいた家の外では、凍て付いた雪の世界から、季節はすっかりうつろぎ、はらはらと桜が舞うなか姉妹の残像が浮かび上がる。そしてその穏やかな光景の中、受験生だった純子が吉報を持ってきたように佇んでいた。春の便りだ。


  • 満足度★★★★

    儚い、
    儚い、繊細な感情が素敵でした。

  • 満足度★★★★

    初の箱庭円舞曲、楽しめました!
    こんなにもナチュラルに笑えるセリフを織り交ぜられるものなんだと、途中から感服してました。「笑う」トコと「見入る」トコ、うまく立て続けに見せられてはもうタチウチできません!
    ‘突拍子もない’ととられてしまう可能性ありの設定とかをスマートに届けてこられたのも印象的。一歩間違えばしらける要因となりえない設定も、違和感なくスッと入ってきました。
    俳優さんも皆さん持ち味を発揮されていたようで、2時間15分という長めの上演時間を、飽きることなく堪能させてもらいました、お見事!

    終わり方が少々ピンとこなかったのと、異様に空調が寒かったのを除けば…☆5つな感じです(笑)
    他の人の感想も聞いてみたい。

  • 満足度★★★★

    観ました
    まず舞台美術がよかった、キャストも配役がぴったりで、会話が面白い。
    次回も観に行きたい!

  • 満足度★★★★

    家族の血
    地区再開発計画が持ち上がり、立ち退きを迫られる姉妹を軸に、そこに集う一風変わった人々を描く。

    当劇団初見。
    ホームドラマ風でありながら、個々の登場人物の背景を丁寧に描写し、会話劇としてなかなかの出来。

    時間が2時間15分と長く、途中、中だるみの感有り。
    もう少し、コンパクトなるとより一層良くなるのではないか。
    次回作に期待が持てる。

    役者陣では、小林タクシーが出色。

    ネタバレBOX

    主人公の姉妹の姉は、ストレスが高ずると、ところ構わず、急に睡魔に襲われるという奇病を患う。

    母の死、立ち退きなどの問題によって、頻繁に睡魔に襲われる主人公。
    生まれ育ったその地を離れたくないとの思いから、立ち退き反対運動の先頭に立つことに。
    そのことによって、自分の居場所を見つけた主人公は、睡魔に襲われる回数もめっきり減り。。。

    と縦軸は、立ち退き問題であるものの、横軸として描かれるのは、家族の血。

    姉妹はそれぞれ父親が違うと言う。
    亡くなった母親は、男性が放っておくことができない色香漂う女性だった様子。
    そんな血を色濃く引き継いだ妹は、そんな母親を嫌悪し、似ているといわれていることに立腹する。
    一方の姉は、恋人の一度の過ちを許すことが出来ずに、男性不振の様子。
    しかし、血は争えず。
    終盤、主人公の姉も魔性の本性を現す。

    「家族の血」を主軸におきながらも、人間の弱さ、エゴを描いた作品と受け取った。

  • 満足度★★★★

    99%のリアル感
    噂に違わず、箱庭円舞曲、大変実力ある劇団でした。古川さん、なかなの切れ者とお見受けしました。
    一般家庭のそんじょそこらにあまり見受けられない情況設定なのに、何故かどこにでもありそうな話のような妙なリアル感のある、不思議な芝居でした。
    とにかく登場人物の台詞が、全然作り物めいていなくて、そうそう、そんな言い方されたら、そういうリアクションになるなとか、こういう性格の人間は、ここでこんな見当違いなこと言う言うとか、妙に納得できてしまう自然体の台詞で、舞台が進行し、それでいながら、各人物の内面や関係性も、自然に観る者に理解させてしまう、作者の力量に、感服しました。
    こんなに普通の会話劇テイストで、説明台詞が一切ないのに、こんなにクリアに情況把握させてくれる作品には初めて出会ったかもしれません。
    役者さんも、皆さんすごくいい!!中でも、赤澤ムックさん、小林タクシーさん、爺隠才蔵さんの自然体の存在感には敬服しました。
    これだけ、自然にリアル感があるので、唯一つ残念だったのは、特に最初のシーンの方で、人物間の台詞のやり取りの時、「えっつ、え?何?」的な言いよどんだりした時の間合いだけが、やけに嘘臭い芝居染みた微妙な間になっていた点。他の会話があまりにも自然体だったので、余計目についてしまいました。

    舞台装置や照明も音響も、スタッフ技術も大変優れていて、また追いかけたい劇団が増えてしまいました。

    ネタバレBOX

    幕開きの庭の風景のため息の出るような美しさにまず魅了されました。
    空気が読めず、思い込みの激しい純朴ストーカーの塩野谷役の和知さんの佇まいが、一服の清涼剤的な雰囲気でした。
    高校生役を好演された井上みなみさんや、前述のお三人と合わせて、大変気になる役者さんが、また一挙に増えました。

    あまりよく把握していないのに、奥の間に入って、赤澤ムックさん扮する千代海が、喧嘩の仲裁に入るシーン、表舞台では、別の人間模様が同時に繰り広げられ、その台詞がどちらもしっかり聞こえる、この上級者レベルの演出技にも感心しました。
    何気ない台詞の中に、この家族の赤裸々な過去や、トラウマを小出しにして行く、古川さんの手腕に、かなりこの作品一つで心酔しました。
    それだけに、あの前説は余計な感じがしました。キャラメルやセレソンとは違い、あーいう作風なら、すぐに芝居の世界に客を誘導した方が得策ではないかと思います。
    数分の暗転で、見事に何もない部屋になってしまった時の驚きは、そのまま、真理と殊の心の空洞に重なった気がして、秀逸な転換でした。
    真理と今野の抱擁、その時、真理が囁く台詞にぞくっとして、これで幕かと思いきや、まだその後があり、芝居はここでエンディングだぞ的でない、その幕切れシーンがまた見事でした。
    あの時、美麗は、あんなに躊躇っていた、母親が買ったブラウスを着ていたのですね。
    本当に、細部にまでこだわりのある舞台、2時間20分が、全く長く感じられず、素晴らしかった!!
    団地に見えない間取りとか、過去に犯罪者だった人間が親睦会長?とか、そんな区画整理はあり得るか?とか、意地悪に観れば、突っ込みたくなる箇所もありましたが、それを超越するだけの、観る者を引き込む力のある、実に秀逸この上ない作品でした。
  • 満足度★★★★

    あれれ??
    なんかいつもと違う箱庭円舞曲。。。。な気分でした。でも前説はいつも通りだ(笑)確かに、家って?家族って?血縁って?…と投げかけてくれるところはたくさんありましたけどね。今回は、役者さんたちに圧倒されて作品自体があまり楽しめなかったような感じです。でも応援していますよ。

  • 満足度★★★★

    とても
    おもしろかったです。

  • 満足度★★★★

    ラストの状態には・・・
    いつもよりの箱庭さんより上演時間が長かったですが、そんなことは感じさせないぐらい素晴らしく、また面白い舞台でした。
    各役者陣も、当て書きじゃないのか?と思わせるぐらいびったりはまってました。

    また、今回も舞台セットの作り込み、なかなかお見事でした。
    最初の雪を降らす場面なんて、本物の雪かと思ってしまいましたし。ビックリしました。

    しかし、終わりと思って暗転になって、なんか長いなあー、役者の準備に手間取ってるのかなとおもっていたらまだ場面があり、暗転した後の舞台上の状態には、ほんと驚かされたと同時にやるなあ箱庭さんと思わされました。

  • 満足度★★★★

    割り切らないあけすけさ
    ソワレを観ました。

    物語が進む中で、
    キャラクターそれぞれの持ち合わせているものが
    あけすけに観る側にやってくる。

    登場人物それぞれに
    個々の描き方を丸めないというか、
    観る側にきっちりと色づけさせない強さがあって、
    それが、結果的に舞台全体の広がりを大きくしていく。

    互いがそれぞれに触媒のような役割を果たして、
    キャラクターの枠の面白さに加えて
    内側にある想いやわだかまり
    小数点どおしの掛け算から浮かび上がるような
    端数のついた個性に
    時間を忘れて見入ってしまいました。


    ネタバレBOX

    冒頭、ちょっとへたれな前説があって、
    場内の雰囲気が緩みます。
    それが、本編冒頭の暗示的なシーンの
    テンションを微妙に変えていく。
    終演後思い出してみると
    そのべたさとたよりなさが
    キャラクターたちの
    どこか緩慢な時間と
    それそれが持つシリアスな内面の乖離が
    暗示されているようで・・・。

    物語は団地の立ち退きを縦軸に、
    その家の姉妹や彼女たちを取り巻く人々を横軸に
    進んでいきます。
    冒頭からキャラクター間の距離感に、
    微妙に割り切れない余りのようなニュアンスがあって。
    それが、舞台に不思議な饒舌さを与えていく。
    なんだろ、上手く表現できないのですが
    それぞれの関係性が観る側にそのまま入り込んでこない。
    表面的には収まりきっても
    役者たちの内側にあるブランクの部分や
    出っ張った部分が伝わってくる・・・。

    でも、それがあざとく感じられないのは
    個々の内側にあるものが
    他者との関係の中でしっかりと描かれているから。
    それぞれが、絶妙に他者の内側を照らし出していくのです。

    特に赤澤ムックと井上みなみの親子が居候を始めてからがすごい。
    二人が触媒になったがごとく、いろんなものが浮かんでくる

    役者もくせものぞろい。(褒め言葉です)

    観終わって、2時間20分という時間を全く感じなかった。

    最後のシーンもすごくきれい。
    舞台で描かれた時間が観る側にも戻って・・・。

    古川演劇がもつ奥の深さのようなものに
    しっかりとやられてしまいました。

    ☆☆

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