桜の三人おじさん【次回は9月featシェイクスピア】 公演情報 桜の三人おじさん【次回は9月featシェイクスピア】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    めざせふじみの人?
     なんだか、形式とか、自分の方向を模索している様子が伺えて、楽しかった。

    ネタバレBOX

     演出家は、自分の目指すものがはっきりと見えているわけではなくて、なんだか誰か、あこがれている人を目標にして、とりあえずそういう人を目指しているようす。冒頭の、ふじみの人みたいな「この三人姉妹は(中略)で、あーだこーだあるっていう話です」みたいな説明とか、だから、なんだか既視感がある感じ。

     チラシでは、なんだか根本からリメイクする、みたいな大風呂敷を広げていたけれど、フタを開けてみれば、かなりそのままの「三人姉妹」(ロシア固有の文化とか、ラテン語やフランス語が出てくるところとか、めんどくさいところがバッサリ、かなり雑に切り取られていたけど)。せりふの言葉だけ、「現代口語」風(そのへんも、よくあるかんじで)。このチラシとの差に、なんだか迷いがみえて、うれしくなっちゃう。

     一応、劇団のテーマは、「リアルなコミュニケーション」らしい。でも、あんまりリアルじゃない、と思った。そもそも、学生さんみたいな若い人たちが、中年男性とか、お爺さんとかやるわけで、だから、必然、絵に描いたみたいな「中年男性」とか「お爺ちゃん」とか、ステレオタイプ化がはかられていて、ロシア貴族の話が、なんだかあるあるライク。役者のうごきもどこかぎこちなく、おんなじ手振りなんかをくり返すかんじで、ちょっと抽象的な「リアル」。でも、そこが面白くて、客席と近い、狭い舞台で、若い役者さんたちが一生懸命な、どうしようもない実在する感じと、ぼやけた抽象的な感じが重なって、妙な現実感があるような。ラスト、突然リアルを捨てて、動物の耳をつけた役者さんたちが、「おとぎーばーなーしのよーうーな……」の歌に合わせてカラダを揺らす、ヘンテコなお祭り騒ぎの楽しさと相まって、どこかもやもやする、ヘンな舞台が楽しかった。

     えらそうに書いてしまったけど、僕は『三人姉妹』を読んだことがなかった。チラシを見て、読まなくてもよさそうだと油断したんだけど、観終わって、とってもモヤモヤしてしまって、ついつい読んでしまった。モヤモヤは、やっぱり、アイサツの側から生まれたモヤモヤだった。それは、なんだか、作り手の感じているモヤモヤなのかな、と勝手に思った。

     たくさん登場人物がでてくるので、どうしても、いろんな役者さんたちの寄せ集めみたいになって、アンドレイの人とかは、ひどかった。半分くらいの人は、ラスト、カラダを揺らすときに動きが悪く、ぶれぶれだらだらで、イライラした。練習もっと、してください。でも、ナターシャさんとか、オーリガとか、マーシャとか、男爵とか、印象に残る人もいて、惜しい。

     次はシェイクスピア、とのことだけど、どうだろう。今回みたいにちょっと小器用にまとめる方向だったら、つまんなそうだな。でも、このまま迷って、ひょっとしたら。また、観に行くかもしれません。
  • 初見
    観劇。

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