今日も、ふつう。 公演情報 今日も、ふつう。」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-20件 / 22件中
  • 満足度★★★★★

    ミステリー映画を観てるような
    とにかく、素晴らしい!の一言!大絶賛!

    何が素晴らしいかって、ドキドキワクワクの展開とそれをカバーする役者陣の演技力。
    物語は最初、断片的でパズルのピースにすぎなかったが、その一つ一つのバラバラだったピースが見事に繋がる。そのネタはそこここに散りばめられて、最後は一つの風景画になる。

    その風景画と青い海を見渡せる崖の上の白い一軒家だったりする。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    この物語はネジ工場の社長である澄川が婚約した事から始まる。

    舞台の主役は澄川紅緒、つまりネジ工場の社長ダイの妹だ。

    タイトルは「今日もふつう」だが、この物語の登場人物は全て普通じゃない。
    またこの人達は普通じゃない日常を望んでいる。だから、この人達にとってのふつうはふつうじゃないことだったりする。

    兄が結婚をすると知った紅緒は一通の手紙を仕掛ける。その手紙によって友人たちはこの事件の真相を突き止める。

    場面は変わって海を見渡せる崖の上の一軒家。
    8歳の紅緒は思っているよりずっと大人で、ずっと幼く、ずっと優しく、ずっと残酷で、ぞっとするほど暗い屈折を覗かせる。
    8歳の紅緒は、ダイとSEXをしていたのを両親に見つかり、「両親を殺して。」と巧みにダイを操る。

    その紅緒の意思通りに両親を惨殺したダイは小さな紅緒を連れて帰り自分の妹として、ネジ工場の社長に納まり暮らしていた。

    この物語は紅緒が高校になった今でもダイを愛していたという事実と、過去を忘れてふつうに結婚をしてふつうの幸せを手に入れたいと願った男の物語だ。

    ダイを殺すも生かすも紅緒の手中にあるという少女の屈折しているけれど一途な愛情の行方。いざという時にダサくてダメなダイは絶対に自分を裏切らない。それどころか一緒に死んでくれる、誰にも私を渡したくなくて一緒に死んでくれる、という自信を覗かせる紅尾。
    過去を背負ったふつうに生きられない二人の物語。


    練りに練った脚本はとにかく素晴らしい!の一言です。
    小説でも売れそうな予感!
    最後の最後まで8歳の少女が紅緒だったというネタをばらさず、少女の両親を惨殺した犯人もばらさず、ある意味、刑事コロンボの真逆の設定。
    だからこそ、最後の最後まで、いったい犯人は誰なんだ?というミステリアスな展開にドキドキするし、ふつうの人達がふつうじゃなくなる瞬間の空気にも納得する。

    これはお勧めでしょう。本も演技も完璧です。素晴らしい劇団です。


  • 満足度★★★★★

    今回も、ふつう。じゃない
    いつもよりは俗っぽく、又わかりやすかったですが。やはりアロッタワールド。愛と美と性と生と死と....
    美しい女優さんたちがすぐ近くに来ちゃいます。
    自分、アホ顔してただろうな。

  • 満足度★★★★★

    初めて・・・。
    何もかもが、はじめて。
    舞台を見るのも、アロッタの公演を見るのも、井川さんのお芝居を見るのも。
    とにかく、楽しみにしてシアターモリエールに行ってきました。
    最初の感想は、会場が「ちいさっ!!」
    しかも、舞台を挟んで客席とは・・。まずは、コレに驚き。
    やっぱり、はじめてだったので、固く見てしまいました。

    ネタバレBOX

    やっぱり、井川さん。ステキでした♪見に来た甲斐がありました。

    あとは、あれだけのスペースで椅子のテーブルの配置を転換するだけで
    いろいろな場面作りができるものだなぁと感心しました。

    後半、次々と起こるふつうじゃない出来事。
    登場人物があそこまで つながるとは、思ってもみませんでした。
    記憶を取り戻すシーンでは、上四方(?)から役者さんの声がしたりするのは
    すごく良かった。山下さんの歌にも注目していたのですが良くあっていて
    ちゃんと許可がもらえた理由がわかりました。公演前に約2時間と言われ
    集中できるか心配でしたが、本当にあっというま。満足でした。
  • 満足度★★★★★

    ふつう。って どうなのよ?
    人はそれぞれの世界で色々な何かを背負い生きている。
    その歯車がある出来事をきっかけに絡み合い、すれ違いそして狂い始める。

    「ふつうだよ。」
    「ふつうじゃない。」
    「ふつうだからこそ、危ない。」
    「ふつうに結婚してふつうに幸せになれるとでも思ったのか?」
    「ふつうに暮らしていきたいのならそれも良い。」

    登場人物が口にする其々の「ふつう。」
    その「ふつう。」がストーリーの展開と共に刺激ある痛みに、
    そして爛れたエロスと変わっていく。


    何もせず、何も云わずただ過していく事、生きていく事が「ふつう。」なのか?
    否。
    それは「ふつう。」じゃなくて「無難。」なのだ。

    「ふつう。」とは本気で、残酷であり、痛くもあり、美しくもあり、哀しくもあり、憐れでもあり、
    厭らしくもあり、爛れているのである。

    「ふつう。」の不思議で重く深い意味を考えさせられた舞台だった。




    ネタバレBOX

    登場人物の彼是が何故か気になってしまい勝手に想像してみました(笑)

    先ずは登場人物の名前。
    ご存知の通り其々色が鏤められています。
    結構凝ってますよネ。

    何故か黄色だけがダブっています(黄久馬・黄衣路)
    闇の世界に生きる男に透き通る(透)
    蔵ではなくて臓(青臓)
    暗い紫と云うよりも試案や思案にかけてるのかも(紫暗)
    アルプスの少女?(灰児)
    その儘水商売(水世)
    オイラは青臓の臓が好きです(^^;

    澄川紅緒。
    女子文化学院3年。
    日本文学党々員。
    紅緒が江ノ島桜だった事について。
    無理が有るんじゃないかと云う意見もある様ですが、
    目や耳が不自由な人の殺人事件や証言になるストーリーがある位なので
    オイラはありかな?そう思います。
    奇病の影響か?
    自分よりも生まれてくる弟を大事にされると思い
    両親に対して寂しさとそして憎悪が芽生える。
    そんな時1人遊びを覚え期せずして澄川橙二郎と運命の出会いを果たす。
    橙二郎に自分を与え続け両親に見つかったのも彼女の計画だったのかもしれない。
    そんな想像をもしちゃいます。
    4人の女子高生の中で絶対に処女だと思っていたのにネ!

    澄川橙二郎。
    殺人者にして児童溺愛のド変態男。
    でも10年もの間、紅緒が記憶を無くしているからとは云え、
    自分の性癖をどうやって隠し通してきたんだろう?

    島田虹子。
    虹プロ社長。
    考えによっては今回のストーリーで一番「ふつう。」じゃない人。
    所属タレント3人とマネージャー1人が殺人事件を起こしたり巻き込まれたり、
    遡って元彼は殺人者でその体験をモチーフに書いた小説を幼馴染に盗用されるも
    弱みとして握り強請り紛いの行い。
    そのせいで命迄狙われる事になるんだから!
    でもしぶとく生きているんだろうねきっと。

    寺内茶々。
    虹プロマネージャー。
    ブランド気分で付き合い結婚迄考えたエリートサラリーマンとの関係に疑問を感じ、
    出した答えが喫茶店のマスターとの恋。
    そのマスターは痴漢行為でドロップアウトした元エリート官僚。
    男を見る目が有ると云うか何と云うかある意味凄腕な女性。
    「女は秘密~ブスを隠し~」冒頭では不細工だったのが
    中盤から後半にかけて、美しく見えてきた。
    一途な思いがそうさせたのかな。
    大島黄久馬さんが出所する迄待っていて欲しい。

    沢渡紺美。
    虹プロ所属タレント。
    別に売れても売れなくてもどうでも良い~みたいな女の子。
    意外と純情。
    彼氏(宮崎黒介)の怪我が重傷じゃない事を祈ってます。
    「Water World」のチイママとして頑張って下さい。

    大島緑。
    澄川橙二郎のフィアンセ。
    実は喫茶店ドトオル店長・大島黄久馬の妹。
    橙二郎と知り合って一月で結婚を決意する。
    それ迄の生活は身体を売って生計を立てていたらしい(本人談)。
    橙二郎と知り合うきっかけ、ツタヤエピソードも強ち冗談じゃないのかも。
    松沼青臓の命令により動いていたと思われるが、
    青臓と何時、何処で知り合ったのかは不明。
    身体を売った時の客の1人か?
    でも青臓は3年もの間刑務所暮らしをしていた筈だし・・・。
    青臓の腕の中で死ねたのは本望か。

    松沼青臓。
    磯田河北組 若頭預かり客人。
    元は江ノ島家に出入りする酒屋だった。
    10年前の江ノ島一家惨殺事件に巻き込まれ新婚早々の妻を失う。
    自分も瀕死の重傷を負うが奇跡的に一命を取り止め、
    真犯人・澄川橙二郎への復讐を誓う。
    10年もの間に闇の世界に身を投じ殺し屋となる。
    自分とそして妻の無念を晴らす為に生き延びるも
    闇の世界で人を殺すとは何とも皮肉である。
    然も復讐の一歩手前でドジを踏み大島緑を失い、澄川兄弟に逃げられてしまう。
    若頭 尾上透の命により島田虹子の殺しを請け負うも、
    この状況じゃ恐らく果たせなかっただろう。
    っとなると今度は自分の命が危ない!気をつけろ~!!

    尾上透。
    磯田河北組 若頭。
    この中りを牛耳っている組の若頭である尾上は常に冷静であり、
    恩や義理を大切にする男である。
    自分の思う通りに仕事をやってのける青臓に対する労いや
    引退後の身の振り方のアドバイスからも想像できる。
    っがもしも島田虹子の件が失敗に終わった場合、容赦なく青臓の命を狙うだろう。
    自分の面子にかけてである。

    大島黄久馬。
    純喫茶ドトオル店長。
    国交省の元エリート官僚。
    自らの痴漢行為により家族が崩壊。
    両親を失い妹・緑からも毛嫌いされる毎日。
    元捜査一課の刑事だとか何とか云って
    バイトの女子高生時田紫暗の持ち込んだ一通の手紙の内容と
    10年前の江ノ島一家惨殺事件との酷似を示唆。
    解決とはいかない迄も糸口の様なヒントを多々与える。
    しかし寺内茶々の目の前で
    彼女の婚約者藤原銀太の侮辱にぶち切れて殺してしまう。
    茶々がずっと待っていてくれる事を祈ってます。

    島村水世。
    スナック「Water World」のママ。
    舞台の設定的には尾上 透の情婦なのかな?
    島田虹子との腐れ縁を断ち切りたい辻村黄衣路に融資先を紹介をしたり、
    殺しを依頼する彼女達を平然と見ていられる!!
    当に裏の世界の女・・・。
    劇中挿入歌「女は秘密」を地でいってるなぁ。

    藤原銀太。
    国土交通省 国土計画局係長。
    「今日も、ふつう。」に登場する人物の中で尤も解り易いキャラクター。
    エリート官僚意識を強く持とうとするも、
    2流(3流)大學出のコンプレックスに打ち勝てずにいる。
    唯一見下し目線で付き合っていた婚約者、寺内茶々にも愛想をつかされる。
    その上、茶々が選んだ男が嘗てはエリート官僚で痴漢行為に由り
    ドロップアウトした、しがないチンチクリンな野郎。
    もしかしたら近い将来の自分を垣間見たのかもしれない。
    罵詈雑言を浴びせ貶すも逆切れされて・・・・・合掌。

    篠原赤矢。
    澄川ねじ製作所 従業員。
    虹プロ所属タレント。
    島田虹子の子犬。
    そんな優柔不断な性格じゃあ役者としても成功しないし
    桃花ちゃんに振られるのも虹子社長にも捨てられるのは当然。
    あの時、桃花ちゃんとの関係をはっきりすべきだったネ。
    例え別れたとしても吹っ切れて却って役者に集中出来たかも。
    灰児と揉みあって刺された時の断末魔の痙攣!!
    迫真の演技でしたヨ!ってあれは演技じゃなかったんですネ!!

    生田白貴。
    澄川ねじ製作所 従業員。
    中卒。
    テンションテンションハイテンション~~!
    So~~~~~~~スウィ~~~~~~~ツ!!
    世の中So~んなに甘くなあ~~~~~い!!!
    その場の雰囲気で思わず嘘ついちゃったんだから、
    イッツ・ジョ~クタ~~イムみたいな乗りでやり過ごせなかったのかなぁ。
    ところで白貴君!
    探し当てたのは紺美ちゃんのお家?それとも黒介のお家??
    探偵の仕事の方が向いているかもヨ。

    猪瀬灰児。
    芸能界に憧れて東京にやってきた青年。
    赤矢の紹介で澄川ねじ製作所に勤め始める。
    何かと赤矢に世話になりつつも赤矢の素性と云うか
    本性を見抜く辺りは鋭い。
    虹子社長が赤矢と桃花の関係を気付いているにも関らず、
    「俺の彼女です!」っていきなりのキス!!かなり強かですネ。
    役者としては君の方が成功する可能性があるかも。
    桃花ちゃんも靡いてくれるし主役の座も手に入れる事が出来ました。
    一番の収穫は事故?とは云え人を殺す事が出来た事。
    何物にも代え難い貴重な経験をしましたネ。
    この経験を仕事に活かして頑張って下さい。
    尤も仕事が有ればの話ですが・・。

    宮崎黒介。
    チンピラ。
    青臓の引退を撤回させる尾上からの殺しの命令に息巻く黒介。
    黒介「何故なんですか?俺~尾上さんに聴いてきます!!」
    青臓「おめぇ~上なめてんじゃあねぇぞ~!!!」
    青臓が尾上の胸の内を、闇の世界に生きる者のタブーを話すこのシーンに
    何故かはまりました。
    演出の松枝さんはスナック「Water World」で青臓の顔色を盗み見る様な黒介の表情が
    お気に入りだそうです。
    怪我が回復したら紺美ちゃんと幸せになって欲しいです。
    もしかしたら青臓の不始末の尻拭いを自ら進んでするのかもしれない!!
    尾上透の片腕となれるか??
    その為には捨てなければならないモノが多すぎるけど。

    辻村黄衣路。
    ミステリー作家。
    超?売れっ子の作家さんもデビューのきっかけとなった作品は何と盗作だった!
    盗作と云うより勝手に自分の作品として応募しちゃっただけなんだけど・・。
    でも10年前の当時、世間を騒がせていたという江ノ島一家惨殺事件。
    それに酷似している内容の「江川家の憂鬱」を最初に読んだ時
    何か疑問を感じなかったのでしょうか?
    鋭い観察力が必要とされる作家、それもミステリー作家なのだから・・。
    その後の作品が映画化される(予定)位なんだから才能はあるのでしょう。
    それだけに島田虹子に強請られるのが我慢ならなかった。
    虹子が殺された場合、水世ママや尾上透から何も無ければ良いですネ。
    でも、女子高生の君嶋黄金ちゃんを可愛がったりするのは、
    虹子社長と同じレベルですヨ。
    早く黄金ちゃんを一人立ちさせないと今度は彼女が・・・・!!

    彩音桃花。
    女子文化学院3年。
    日本文学党々首。総裁。リーダー。
    リーダーと云うわりには作家志望なわけでもない。
    冒頭で本人曰く、
    「ふつうに卒業して」
    「ふつうに大學に進学して」
    「ふつうに結婚して」
    でもその望み?をあっさり叶えちゃった!
    紅緒の死後、何年か経ったクリスマスイヴの再会。
    一人結婚して主婦してた。
    「ふつう。」の定義は難しいけど「ふつう。」に幸せみたいだネ。
    因みに旦那さんってどんな人??

    君嶋黄金。
    女子文化学院3年。
    日本文学党々員。
    作家志望であり、後輩の時田紫暗と共に作品を書いては投稿するも落選の一途。
    そんな彼女が江ノ島桜からの手紙を武器に近づいたのが、
    ミステリー作家、辻村黄衣路である。
    思わぬ展開で黄衣路に取り入る事が出来た黄金ではあったが、
    しかし、敵も然るもの。当然!只と云うわけではないのである。
    「江川家の憂鬱」の秘密と引き換えに黄衣路が出した条件とは
    黄金の身体である。
    「絶対に裏切らない」
    「あたしの女になるって事よ。」
    紫暗に「彼氏を作らないと」ってな突っ込みをいれられるのだから、
    黄金も当然処女である。
    男よりも先に女を知る体験をする。
    しかし彼女は躊躇せずにその関係を受け入れるのである。
    自分の夢の為に。
    これが彼女の「ふつう。」なのか。
    然も絶対に裏切らないって云って
    日本文学党の面々にはぶっちゃけてるんだよネ(秘密の関係以外は。)
    そのお蔭で事件の真相を知る為の京都行きに繋がるのだから凄い。
    紅緒の死後三人で再会したクリスマスイヴ。
    辻村黄衣路に未だ付いていて書かせて貰っているなんて
    云ってたけどどそろそろ一本立ちしないとネ。
    才能は紫暗ちゃん並にあると思うよ!
    遅咲きかもしれないからそれ迄はもっと色んな体験を「ふつう。」にして下さい。

    時田紫暗。
    女子文化学院2年。
    日本文学党次期党首。総裁。リーダー。
    そもそも冒頭での彼女の発言がユニークである。
    紫暗「私達の作品が駄目なのは、「ふつう。」過ぎるからですヨ!」
    「「ふつう。」じゃない体験を沢山して得た経験を元に作品を書く。」
    「それはお金を出しても欲しい情報として売れるんです。」
    紅緒「例えば人を殺すとか・・・?」
    黄金「作品を書く情報が欲しい位で人を殺すか~?」
    紅緒「例えばの話ヨ」
       「例えば私達女子高生が100人の男と寝るとか??」
    これだけ話しが盛り上がるのだから紫暗は目の付け所が違う。
    作家としての才能は4人の中で一番だと思う。
    そして事件の幕開け。
    日本文学党の其々の「ふつう。」
    ネジ工場の其々の「ふつう。」
    芸能事務所の其々の「ふつう。」
    闇の世界の其々の「ふつう。」
    謎の人物たちの其々の「ふつう。」
    全ての「ふつう。」が様々な終わりを告げる時、
    それは、
    紅緒(桜)が兄橙二郎との世界を終わらせる時。
    その最期を見届けた紫暗。
    紅緒が紫暗を選んだ事の意味はあまりにも大きい。
    紅緒の死後、クリスマスイヴに再会した時の会話。
    黄金の「2人の死を止めなかったのか?」の問いに対し、
    「紅緒さんのあんな笑顔をみたら、」
    「それもありかなって思ったんです。」
    これが時田紫暗の「ふつう。」なのである。

    紅緒は兄橙二郎との「FOREVR MINE」を紫暗に託します。
    それを確かに受け取った紫暗は「ふつう。」では得られない経験として作品にします。
    その作品は見事、直木賞に輝く事となります。

    その作品名は



    「今日も、ふつう。」



    以上、誠に勝手で無責任な想像で申し訳ありませんm(  )m





















  • 満足度★★★★★

    アロッタファジャイナ最高傑作。
    想像を絶するような性と生、そして美と死に満ち溢れた耽美的な舞台でした。 物語の核となるのは、女性の「性」。 その美しさの根源は、生を凌駕するほどの死への直結。 セックスとは本来産む為の本能から起こされる行為であるはずなのに、 舞台上から溢れ出る性は一直線に破滅へと繋がっています。 エロスで輝いているのは常に女性で、 破滅を恐れて情けない姿を見せているのは常に男性。 思いを遂げられずに叫ぶのも男性。 ああ、斯くも女性は、美しく、残酷であるものなのでしょうか。
    薔薇や蔦の絡まる壁、アンティークな椅子や食器の数々といった ゴシックなセットの中で、実に耽美的に、刹那的に。 アロッタファジャイナという劇団の持つフェティシズムが全開! 看板女優である安川結花ちゃんは、どの公演でも毎回 「この役が当たり役」と思わせてくれるのですが、今回も然り。 というより、今まで以上に彼女自身の経験にない(と思う)部分を身体に取り込み、 それを舞台上で説得力のある、且つ魅力のある演技にしてしまうという良さが今回は突然、何かの域を超えてしまったような気がします。

    ネタバレBOX

    あの、悲劇のラスト。 燃え盛る火の中で狂おしく抱きあい、口付けをして至福のうちに死を迎える・・・。号泣しました。しばらく、席を立てませんでした。 何人かの男性に感想を聞いたところ「どこで号泣?」と不思議がられましたが、きっとこの感覚は受動の性である女性の方が共感しやすいのだと思います(^-^;) 劇団アロッタファジャイナ、どんどん進化しています。 イケメン舞台だった『ルドンの黙示』から一転、美少女演劇に回帰した事でアロッタの魅力、成長の著しさを直で感じさせてくれた素晴らしい公演でした。
  • 満足度★★★★★

    いい意味で、「ふつう」
    ふつうということは、ふつうじゃないこと。それがよくわかった。実際に観るまではどんなストーリーかわかりにくい(チラシなどでは情報が少ない)けど、観ると十分に納得できる。費用対効果も文句なしで、面白い!キャストが多彩で、しかも美少女が4人もいるから舞台は華やかだ。この美少女たちが、想像とは違ってちゃんと役者している。セリフも間違えずに文句なし、演技もなかなか板についていた。舞台を挟んで向き合ったレイアウトだった客席は初めてだが、とくに違和感はなかった。

  • 満足度★★★★

    切ないっすね。
    ええ、
    ほんと。

    やけに切なかったです。

    ネタバレBOX

    それにしても人、死にすぎでした。
    もうなんなら最後は全員死ぬのかな・・・と思ったくらいでした。

    まぁそれはないですけど。

    妹役の子・・・いい感じでしたね。
    たぶんああいう『お兄ちゃん!』って感じ、世の男性にウケるんでしょうね。

    禁断の愛って設定・・・なんか良かったです。
    最後はなんとなくドラマ『高校教師』を思い出しました。
    もうなんとも言えず切なかったです。


    効果音良かったです。
    両側観客席も良かったです。


    それにしてもあのどっかの社長の人、やけに存在感ありましたね。
    芝居が終ってチラシ見るまで何モノか気づきませんでしたが、後で納得しました。

  • 満足度★★★★

    同時多発的悲劇
    いくつかの断片的な場面で登場人物を紹介して、そのつながりを早めに明らかにしつつ1つの謎を提示する序盤でツカミはオッケー。
    以降、序盤で示された謎が徐々に明らかにされて行き、行き着くところはロミジュリばりの悲劇。ちょっとした嫉妬や出来心(?)から起こった事件が10年の歳月を経て迎える哀しく切ない結末、的な。
    また、中心となる澄川兄妹だけでなくその周辺の人物たち3組にも悲劇が訪れ、「同時多発的悲劇」の様相。
    しかもこれらの悲劇が「ふつう(=日常)」と隣り合わせていて、ホンのちょっと歯車がズレただけで起こり得る「ふつうじゃない」状況なのが巧みなところ。
    あと、それまで好人物でどちらかと言えば被害者側だと思っていた登場人物が実は…という終盤の展開にロベール・トマの『罠』も連想。

  • 満足度★★★★

    全体的に満足だが消化不良。
    かなりいっぱい人物が出てくる割に、全員関係性がきちんとあって、こんなところで貴方が関わってくるのね!と感心&引き込まれました。
    私はミステリーものの犯人が読めない人間なのでドキドキしっぱなし。
    でもわかる人にはわかっちゃうのかも。

    ネタバレBOX

    最初は各所同時進行で話が進んでいくため、暗転(薄い光と音で効果的にはしていましたが)を多用し若干飽きました。

    クライマックスに至ってはあらゆるところで傷害事件が勃発。
    ほぼすべての登場人物がやるかやられるか目撃するかしている怒濤の展開。
    被害者側は生死不明のまま主人公サイドにスポットが当たってしまい、そのまま盛り上がり~!?





    …終わってしまった。

    あああ消化不良!


    クロと紺美は幸せになれたのか?
    店長とマネージャーはどうなったんだ?
    青蔵の仕事はそもそも虹子を殺すことだったはずなのに?
    虹子とキイロの関係性は?
    桃花の旦那は灰児なのか?
    いろいろな傷害事件は罪には問われなかったのか?
    官僚とクロとセキヤの生死は?
    (その他あげれば気になる矛盾点がかなり…)
    近親相姦?や少女と青年の情事などの背徳感にスポットが当たっていましたが、微妙に理解し得ない感情でした。
    私が「ふつう」の思考の持ち主だからなのでしょう。

    全体的には楽しめました。
    美少女たちが目の保養でした。
  • 満足度★★★★

    男はみんなストーカー
    女性陣のすがすがしさに、とても救われるような思いがしました。

  • 満足度★★★★

    「ふつう」に愉しかったです^^
    いくつものピースが次第に繋がっていき,それぞれに結末をむかえる。ミステリ感覚で2時間15分の時間も気にならず,楽しく観ることができました。個々の結末にはもっとオチがほしいところですが,それだと時間がもっと長くなるし・・・本筋が素敵だったので,良しとしますか^^舞台と客席のかたちも良かったです。

  • 満足度★★★

    実に「ふつう」の気持ちで。
    物語の枠を作る(「起」の部分)のに1時間ほど。
    ようやく物語が立ち上がったかと思ったら、早くも真相に気づいてしまう。
    「承」の段階で「結」を予測させてしまうと、「転」は長い説明になってしまう。
    ミステリというのはそこが問題であって、問題を解決した途端に引力を失う。
    他にも引き寄せる要素が欲しかったが、いまいち感じにくかった。

    恐らくあえてステロタイプな人物や設定を使っているのだろうけれど、
    おかげで「ドラマ」の枠に収まってしまい、怖さを感じることはない。

    そんな中でも、記憶に残る役者も少なくない。
    中心を担う女子高生の中でも、安川結花・阪田瑞穂が際だった。
    安川は、だんだん立ち上がってくるキャラクタが凄みがある。
    阪田は、ナチュラルさが、逆にリアリティを立ち上げることに成功している。
    そして、菅野貴夫。この人がいなければ、舞台が落ち着かなかったろう。

    初めてのアロッタファジャイナだったので、図りかねる部分はある。
    でもまあ。
    結論から言うと、至って「ふつう」の気持ちで劇場を出たのでありました。

    ネタバレBOX

    ミステリ以外の見所として、群像劇があると思う。
    だから、「ふつう」から転げ落ちていく群像劇として見ていたのだけれど、
    どこかステロタイプの域を超えずに、切迫感を与えることはない。
    殺人が同時多発的に起きる状況さえ、喜劇的ですらある。
    もう少し、人物に厚みがあったら楽しい。
  • 満足度★★★

    良く出来た脚本に役者も熱演!
    前作「ルドンの黙示」の評判が物凄く高かったので、期待して見に行ってきました。
    モリエールに入ったのは2回目だったけど、舞台を両面から客席が囲むような形。
    真ん中の舞台は真っ赤な絨毯が敷き詰められ、壁には薔薇や装飾がキレイにされている。
    雰囲気作りが素晴らしい、けど、個人的にはこの対面型の客席は特別な意味がない限りは苦手な形で。
    狭い会場だと逆に一体感が出て良いのだけど、今回のようにしっかり世界観を演出しようとしている時には、舞台の向こうにお客が見えてしまうと興ざめするので。

    あと、高低差の少ない客席で、舞台は更に下にあるので、舞台上が非常に見づらかったのも話に入っていくのを阻害する要因になってしまっていました。

    演技は皆さん熱演だし、話も凄く凝っていて美しい話だっただけに、もっと集中して見たかったな。

    ネタバレBOX

    細かく色々なシチュエーションが提示されてゆく前半がスローペースでちょっと眠くなってしまいました。
    けど、中盤からそれぞれのバラバラと思っていたエピソードや登場人物たちが複雑に絡まっていき、ふつうだった舞台上が混乱してゆくさまが実に良かったです。

    でも、最後の方に工場の従業員が暴力団員を刺してしまうエピソードやタレントが刺されてしまうエピソードは、まとめかたとしてはちょっと安易なのかなと思ってしまったり、そのエピソード自体削って良いのでは?と思ってしまったり。
    話が沢山あって、それぞれに見せ場があって、盛りだくさん過ぎて逆にもったいない感じが。
    その分時間も長かったし、長い割にはそれぞれのエピソードが凄く細切れでめまぐるしく入れ変わってもったいない気がしました。

    前作の「ルドンの黙示」は現代が舞台ではないようなので、そういった手法もありなのだと思うけど、現代のリアルな世界を描くならひとつのシーンをもっとじっくりと描いてほしかったかな。
    前作が同じ手法だったか確認したかったし、評判だったので「ルドンの黙示」DVDを買おうかと思ったけど4,000円だったのでやめてしまいました。
    今時映画のDVDだってもっと安いのに・・・。

    今回の公演も4,000円の入場料だったら、舞台装置はもっと凝っててもいいと思うし、ちょっと内容的にも入場料に見合っていない気がしてしまいました。

    内容的には★4つだけど、入場料と見合わせて考えるとそれだけのものを見せられていない気がするので、★1つ削りました。
  • 満足度★★★

    普通じゃない
    普段使わない「普通」を多用する。でも、全然普通じゃない。
    初めて見る劇団でしたが、場面転換が実にスピード感がありました。

  • 満足度★★★

    ふつうによかったです。
    2時間20分弱飽きることなく楽しめました。
    女子高生役の4人の初々しい(決して下手ではない)演技がよかったです。

    ネタバレBOX

    ちょっと、盛り込みすぎではないかと思う。
    前半の場面転換が多くてずっとこんなだったらやだなと思ったら
    後半はいい感じになってきた。
  • 満足度★★★

    面白かったです
    初見でしたが、ストーリーもよく考えられていて面白かったです。
    女子校生役の女の子達が良かったです。

    ネタバレBOX

    最初は場面転換が多くてちょっと集中出来ませんでしたが、後半はそれらがうまく繋がっていくので引き込まれました。
    客席とステージが近いので、観客も緊張しますが、演じる方は両側から見られてもっと緊張するのだろうな~、と思いました。
    舞台を裏側からみているようで面白かったです。
  • 満足度★★★

    舞台はよかったけど
    作品はとても楽しめました。ストーリーはもちろん、音楽や照明を含めて満足です。ただ一つ残念だったのは、何の手違いかCoRichでの予約特典が届かなかったこと。メールで問い合わせても反応がないようですし、この辺は改善してほしいですね。というわけで★3つ。

  • 満足度★★

    作品はとっても素敵でした。
    愛憎がとてもリアルというか、エロチシズム的に描かれていて。

    素敵な作品でした。前回より遥かに好感です!

    役者さん達、特に男性陣の演技に圧倒でした。



    しかし、客席で携帯見ながら写真とりまくっている人がいて・・・・

    それが何やら出演者の関係者の方らしく・・・・


    それゆえにこの満足度です…

  • 満足度★★

    エンターテインメントは危険なものである
    上演時間は2時間半というアナウンスを聞いたときは、どうなることかと思ったけれど、フタを開けてみれば、結局、飽きることなく、寝ずに、観ることができた。

    長いうえ、2時間半で40回以上という暗転の回数は異常。それでも、小出しにされる情報を追いかけているうち、あまり気にならなくなって、終演後には不思議な達成感すらあった。

    でも、僕は、この舞台に高い評価を与えることはできない。それは、この舞台のあり方が、危険なものを含んでいると考えるからだけど、それでも、この舞台は、ある面ではなかなか面白くできていて、話は単純ではないのである。

    ネタバレBOX

    総勢19人にも及ぶキャラクターたちが、それぞれ、何重にも関係していて、観ているうちに、相関図がどんどん複雑に埋まって行く。逆に、この19人以外の存在は、ほとんど匂ってこない。非常にデフォルメされた、分かり易い世界観を持つキャラクターたちと相まって、作品世界に現実感は希薄。パズルのピースを埋めていくように人間がモノのように扱われ、冷たく展開していくゲームのような物語は、ある種の耽美を感じさせるもの。こういうものには、好き嫌いがはっきり出る。

    僕は、こういう自己陶酔を感じさせるものは苦手。物語の出来もいいとは思えない。なのにしっかり観てしまった。それは、この作品が、今の世界の底にある物語にひびきあうように作られているからだろう。

    情報格差という今を生きる僕らは、「情報を少しでも多く持っている方が有利」という、現実を支える物語の中で、他人が持っている情報を掴み損ねることをなにより怖れる。だから、「情報を得ることができた」ということ自体に満足を覚える。

    この舞台は、僕ら観客に、情報格差をみせつける。たとえば、サプライズゲストの登場に、客席がざわめく。この人物は、メディアの上で有名な人。情報を持たない人は、焦る。たとえば、途中で、物語のうえでのつじつまを無視して、事件の真相に近づくヒントのようなせりふが何カ所か出てくる。情報を整理すれば、その時点で真相がわかる仕組み。

    このような格差をみせられ、僕らは、舞台にちりばめられた情報を集めることに夢中になる。それはまるで、情報を受け取れるか否かを競う、ゲームをしているような感覚だ。こりっちの使い方を含めて、舞台をめぐる情報戦略に特化したこの公演は、舞台の上でも、情報戦略に特化した面をみせる。

    このように、テレビから抜け出してきたような情報収集ゲームとしては、この舞台は非常に完成度が高いといえる。だが、演劇としての面白さはどうか。歌っておどるシーンも、濃厚なラブシーンに「(舞台)初日からなにやっとんじゃ」とつっこむような舞台ならではのギャグも、ことごとくすべっていた。あまりにも情報収集に特化しているために、僕らは、情報以外の部分に目をやるゆとりをなくしていた。情報以外の要素が、邪魔になってしまっていた。

    このような、情報収集ゲームとしての舞台は、おそらく、周到なリサーチの結果導きだされたものなのだろう。ある意味、このようなものを望んだのは、僕らだともいえる。これが、僕らの望んだエンターテインメントのかたちなのかもしれない。

    時代の流れの中で、人々が求めるものを、ただそのとおりに提供する。それはエンターテインメントのあり方として、戦時中、人々の求めに応じて大量に作られた、戦争賛美の物語につながってしまう可能性のある、大変に危険なあり方で、時代の物語をより強固なものにしてしまい、反論を圧殺する可能性を含む。作り手は、その責任に、自覚的であるべきだと思うのである。
  • 満足度★★

    点描写を強引に結びつけてる感じ
    最後のシーンを描きたかったのはわかるし、それは美しいとも思うが、ここに辿り着くまでの展開が冗長かつ強引で消化不良。137分。

    ネタバレBOX

    序盤、暗転で区切りつつ布石広げるようにバラバラのシーンを提示していくのだが、各々のシーンの距離があまりに遠く、物語としての繋がりが見えずに求心力が弱い印象。

    逆に後半は本格ミステリ演劇というわりにはネタバレは新事実を続出させるわ、一斉に急展開にもっていくわ、伏線は張りっぱなしで回収放棄してるエピソード多いわと無理に話を転がしてる感があり、ちょっとついて行けない感じだった。

    役者も過剰な演技をしていたり、会話せずにタイミングで台詞喋ってたりもあって、要求するレベルが一定じゃないので作品として一体感も出てないようで。また、役柄自体もとても調べて描いたようには思えないくらいイメージ先行の色づけで△。

    全体として無駄なシーンを削って、90分くらいの物語にすると、最後が際だってよいまとまりになるんじゃないかと思ってしまった。長いですよね、やっぱり。

    舞台の作りとして、縦長で段差の少ない会場を対面で使用して観やすくしているのは◎。ただ小道具の椅子とかまで統一感をもたせるよう揃えるなり、もう少し配慮してもよかったのでわ?

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