HIRAMEと呼ばれた男 公演情報 シノハラステージング「HIRAMEと呼ばれた男」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    沖田総司という人物が世に知られるようになったという劇中劇のような公演。その印象は舞台稽古またはゲネプロといった習作を観ているようだ。
    物語の趣旨や構成は面白いと思うが、それをしっかり観客に伝えるという点では弱いと思う。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    公共施設のホール、基本的には素舞台で情景・情況は役者が体現していくことになる。少し誇張した演技は歌舞伎のようにも思えるが、全体的には典型的な大衆演劇。物語は幕末時代、沖田総司を中心とした新選組と女剣劇・桜千代之丞一座の興行を交錯させ、いつの間にか両方の人物が愛惜と哀惜を味わっていく。その展開を舞台化する過程を描いたものか。

    明治時代には新選組は逆賊として扱われ、今ほど知られていなかった。いや抹消された存在であったが、昭和初期に小説・映画、そして演劇上演で紹介されたことが新選組認識の契機になったという。その当時の舞台が本公演における回顧劇のように思える。新選組を扱った映画や舞台では、沖田総司を二枚目俳優が演じ、時には女性が演じることもあったという。それが現在の沖田総司像に繋がっているという興味深い話。

    沖田総司と恋仲になった桜千代之丞は、彼を主人公にした公演を催行するが自身も病に倒れる。新選組、剣劇一座ともに組織内情は思わしくない。その共通した情実を当時の上演場景…劇中劇仕立てで描いているようだ。公演はツケを打ち鳴らす、クラシック音楽(ドヴォルザーク交響曲第9番)などで見せ場を強調する。沖田総司を世に知らしめた当時の劇、それの再現という設定の演技なのか、そもそもの演技力なのか判然としないが物足りない。またTG公演としてTシャツ、Gパンという服装には違和感を持った。

    この劇団、バリアフリープロジェクトとして、車いす席の確保、視覚障碍者用の音声ガイド生放送などの対応をしてくれる。上演前もその旨、しっかり伝え多くの人が観劇できるような工夫や条件整備に努めており、感心させられた。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/06/18 15:45

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