山茶花 公演情報 ENG「山茶花」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    妖怪やまこの青年と人間の女の子の悲恋のお話に、キレのよいダンスやダイナミックな立ち回りと時々お笑いもあって、たっぷり楽しめた。

    ネタバレBOX

    ただ実は、ラブストーリーとしてはあまり感動しなくて、一人ひとりの生きざまを見るのが面白かった。
    それでも、恐怖のあまり口をきけなくなった三國/松木わかはさんが、ヤマコの次男坊ヒゴの名前を呼んだシーンは泣けた。星璃さん演じる鉄砲玉のようなヒゴは人を疑うことを知らないんだろうな、素直に信じられるなコイツと思った。
    「山茶花」の一番の魅力はなんと言っても、主人公サンサカ/丸山正吾さんのまっすぐな心。呪われた子と忌み嫌われながらも、ひねることなく、すべてを受け入れ、諦めと寂しさを抱えたながらも一人で穏やかに生きてきた。ずっと一人ぼっちだったのに、ヒゴとシシに出会い義兄弟となるほど寄り添えたことがどれほどの喜びだったろう。この3兄弟は、ずっと清らかな魂のまま一緒に最期を迎えるのが切なく心に沁みた。
    一方の自己中な若旦那源兵衛/大野清志さんも、自分を捨てた母親への思いを絶ちきれない悲しい人。嫌なヤツなんだけど、カッコいいしちょっとお茶目で憎めない。本当は寂しい人とわかっているから、永楽院の人たちも付いていったんだろうな。

    もっと背景を知りたいと思ったのが、孔雀坊と茶土。
    福地教光さんの孔雀坊は、生臭坊主でひょうひょうとして、強いものに流れる小者ペテン師に見えるが、茶土に暗示をかける姿は神々しくもある。ズルい人かと思ったけど、愛する人を自ら手にかけ苦しむ茶土を救ったのは何の得にもならず優しさでしかない。そして暗示を解くときには決意の重さを感じた。結局最後はどこに行ってしまったのか。ラスプーチンのような怪僧でもなく、中途半端な立ち位置だけど、それが人間臭くて結構気に入っている 。嬉しそうに「◯っぱい」と呟くのも面白かった(笑)

    羅漢とつばきの間で揺れ動くアカシ/石部雄一さんもカッコいいのにジタバタしてるのが魅力的。
    侘助/平山佳延さんは、知恵で生き延びているけど、本当はどうしたかったんだろう。とにかく優しい人だけど、明るさの向こうに迷いや後悔が見える。永楽院を出て自由になってどう生きていくのか、見てみたいと思った。

    女性はみんな逞しくてキラキラしていた。主人公のつばき/小玉百夏さんのまっすぐな強さがみんなを動かしていく。永楽院の女たちもそれぞれのキャラクターがハッキリしていて、気持ちいい。
    でも一番は、緊張のシーンでも「眠たくなってきたー」とあくび一つで雰囲気を変えてしまう、おひのちゃん/長橋有沙さん。癒されました(笑)。
    そして一番女っぽかったのは、羅漢/梅田悠さん。山賊の親分で、茶土・源兵衛・アカシと手練れの3人に引けを取らない殺陣がとにかくカッコよかった。でも、中身はものすごーく「女」。

    やまこの里の若者とやまこ団を演じた男性陣のアクションがすごかった。冒頭から、まばたきを忘れてしまうほどで、物語にグイグイ引き込んでくれた。特に指輪を飲み込んだチドリ/澤田圭佑さんの変貌ぶりは不気味でよかった。立ち回りってタイミングが大事なんだろうなと思うけど、「山茶花」のアクションは素早いのに自然で見ていて気持ちよかった。

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    2018/06/17 11:25

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