あの子の宿題 公演情報 犀の穴プロデュース「あの子の宿題」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    中学3年の5月に転校してきたあの子を巡る(現実と妄想の混じり合った空間を含めた)思い出たち。
    正解を導きだせないつくりの作品。
    6割がた義務教育である中学時代を舞台にしていて、観客はどこかのシーンで必ず「あるある」を見つけられたのではないだろうか。
    「あの子が消えた」という大事件はあるものの、それ以外は基本的に平穏な日常が綴られ、ごく普通の中学生がえがかれる。あの子に何があったのかは示されない。ばらばらの順番で出てくる場面の中にやがてエッセンスが見えてくる。
    演劇としての見所は充分。楽しませていただいた。

    それにしても、30代の皆さまが演じる中学生たちの爽やかなこと!なんだか心洗われました。

    ネタバレBOX

    あの子の涙に救済を感じた。きれいでした。
    あの子と君島の二人だけが泣き顔の合唱シーン、良かったです。

    ラジオ体操は初見時やりすぎかと感じたが、直後のしっぽ取り鬼の準備体操としては大事だと理解。笑
    でもやっぱり、100分の作品なのにあれで何分取ったのかというのは。あります。

    お母さんからほんのちょっと感じる不気味さが良い。
    あからさまとは言いがたい違和感。置いて行かれた経験があるから行かないでと言うのかなと考えたり、運動会のお弁当が一年に一度のごちそうということに他人の目を意識する劣等感と家計の苦しさを感じたり。ビールはこのひとが飲みたかったのかな。嬉しくて。わたしの、勝手な解釈ですけども。

    黒板消しクリーナーの「ぶいいーーん」に笑って、チョークで黒板に書いていくあの音にびっくりして君島が書いていく姿にびっくりして。犀の穴初めてだったので黒板の意匠も楽しみました。

    そしてまさかの百合。あの子が佐藤さんの手を取る、佐藤さんの手を引く。
    それだけで色香が。「こっち来て」はどきっとしますね。
    佐藤さん役の森岡光さん、素晴らしかったです。

    役者陣は全員が全員良く、見所がたくさんあり大変楽しんだ。
    が、短編を繋げた構成と独白に頼る人物の見せ方は、
    乱暴な言いかたをすれば「誰にでもできる」。
    今作は快作ではあると思うが傑作ではないと感じる。
    日常をえがくだけで面白くするというのは至難の業。
    脚本も演出も良かった、良かったからこそ、
    作・演出の大迫旭洋さんにはいろんな技術を身につけてほしいと感じた。
    いつかまた作品にお目にかかれることを期待。

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    2018/01/21 18:16

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