らん 公演情報 秦組「らん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    観劇後の満足感というのは「面白かった!」「感動した!」等の手土産をどれだけぶら下げて帰れるかともいえますが、まさに大漁!もう胸いっぱい、お腹いっぱいです。

    悪政に苦しむ極貧の村民、更なる底辺に属する毒地で暮らす賤民の人々。
    その一人、苛酷な境遇ながらも賤民ゆえの逞しさと結束の強さに包まれ、青春グラフティーさながらに恋をし、明るさ、真っ直ぐさで楽しませてくれる少女。
    しかしその先には、青春モノというにはあまりに血生臭く、少女はおろか彼女を祭り上げ、裏で画策する大人達さえもドツボの争いに巻き込こんでいく悲劇。

    観劇前には「予言」というキーワードから『マクベス』をイメージするところがありましたが、実に日本人的泥臭さと、闇が光を、光が闇をより際立たせるコントラストが鮮やかな展開で振り幅大きく心揺さぶられました。
    ふんだんに盛り込まれた殺陣シーンでは、どれもが単純に善と悪が争う図式に当てはまらず、両者のバックボーンが充分刷り込まれている為、どちらが斬られても「あ~っやられちまった!」と心穏やかではいられない連続・・・

    今年初の感動泣き。
    「より激しく、より切なく、より残酷に・・・」
    感極まり、気持ちいいくらい涙たくさん流させて頂きました。

    ネタバレBOX

    主演2名が未成年、ソワレは終演時間に規制がかかる為、凝縮されたバージョンとなり、マチネの回はそこを気にせずに上演時間も若干長くなっています。と作・演出家さんからの説明。
    研ぎ澄まされたソワレのバージョンの方が好みだと考える方もおられると思いますが、私は創り手の表現したいモノが全部つまったバージョンなら、もう大歓迎。
    実際、長さなど意識するヒマもなく、終始全て丸ごと全部楽しめました。

    主役の松本来夢さんは初舞台という事でしたが、周りの役者さんのフォローもあり、その愛らしさが生かされた演出。
    彼女「らん」を一角とした五人の恋愛模様が何とも切なく、「らん」に思いを寄せる「イタチ」の殺陣シーンが涙腺崩壊の突破口でした。

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    2018/01/19 20:18

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