ナイゲン(2017年版) 公演情報 feblaboプロデュース「ナイゲン(2017年版)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    初日観劇…満席で増席するほど盛況で、その評判通り面白い作品であった。昨年も観ているが、今年は新しいキャラクターイメージを目指すため、全員オーディションで選んだという。会議劇コメディであることから、その人物像をどう立ち上げるかが鍵となる。会議が終わるまで教室から出られないという、サスペンスとは別の密室劇でもある。面白く考えさせる芝居でもある。
    (上演時間2時間)  2017.8.14追記

    ネタバレBOX

    セットは当初、授業形式に並んでいるが、会議が始まるとロ字型へ変形させる。会議劇だから当然であろう。また、上演時間とナイゲン討議時間(開演直後、下校2時間前に時刻を合わせる)に重ね合わせて臨場感を持たせる。客席は三方向に設え、観客には会議の立会人のような緊迫感が生まれる。
    内容限定会議(通称:ナイゲン)は、高校文化祭”鴻陵祭”における各参加団体の発表内容を審議する場であるという(文化祭規約)。規約が”自主自立”の精神に則っている。すでに参加団体の催し内容も確認したところに、学校側から「節電エコプログラム 高等教育機関向け」の催しを押し付けられるが…。

    発表内容に関する指摘、恋愛感情、学年優先や何となくなど、意味不明の理由まで飛び出し議論は漂流し続ける。始めの理論武装された議論から感情優先のドタバタコメディへ…。いつの間にか文化祭全体会議からクラス代表の顔になっている。下校時刻が刻々と迫ってくる。そんな中、演劇の上演許可を得ていないクラスがあった。ナイゲンの議論は、如何にこのクラスが主体的にエコプログラムを受け入れるか、という話へすり替わってくる。自主自律の精神に沿わせようとするもの。
    教室から出られないという密室状態、しかも会議時間が限られているという空間と時間の制約に緊張が生まれる。テンポ良く、また疾走するような会話劇は、立会人的な観客も固唾を呑んで見守っている感じ。会話劇だけに登場人物のキャラクターや立場などが観(魅)せられるか。オーディションは功を奏したと思う。笑い、罵倒、落胆など様々な感情を実に上手く表現していた。

    「内容限定会議は文化祭における各参加団体の発表内容を審議する場である」(文化祭規約)、とあるが、3年1組_花鳥風月の上演許可はどこ(誰)から得るのだろうか。根本的な疑問が生じてしまう。
    また、各クラスの発表内容の審議結果を多数決(民主主義的な)で決める。討議では自分の考えを訴えつつも相手の言い分も聞くという態度が大切。物事を決める熟議のプロセスを重視している。意見の一致も大切だが、一人ひとりが違った見方で世界を見ることで世界はまともな形で存在するかも。芝居ではこの役割を3年3組_どさまわりに負わせている。にも関らず、全体討議終了後の採決は全会一致の承認が必要であると…そうであれば議論の過程の多数決は何の意味があったのだろうか、という新たな疑問も生じる。

    日本における日本国憲法の自立とそれ以外に働く力の関係を連想してしまい…表層の面白さに潜む重厚なテーマ、実に観応えがあった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/08/12 11:14

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