サマデーナイトフィーバー 公演情報 20歳の国「サマデーナイトフィーバー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    台風3号接近により学校から帰れない、または帰りたくない高校生の夏休み前のワン・ナイト青春群像劇。一世を風靡したサタデーナイトフィーバーをもじったタイトル、冒頭そのダンスパフォーマンスから魅せる。
    また舞台美術が物語を立体的にし、高校という子供から大人への変化する時期を表しているようで素晴らしい。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    セットは、舞台奥の左右にパイプで組んだ櫓が2つ。観客席寄りには段差があるマットが置かれ、その両外側に高さの違う脚立が立てられている。

    台風というシチュエーションということもあり、天井部から水を落とし、雨のイメージを持たせる。演出の定石…登場人物がお披露目でマット上でダンスをするが、全員びしょ濡れ。先の櫓は、上手側が生徒会室、下手側が放送部(室)という設定であるが、それ以上に高校生活における人間関係の構築の違いを表す。生徒会室は数人の仲間が集まり友情・恋愛を育んでいく。一方、放送部は一人部員として活動する。自身がそう選択して人間関係に一定の距離を置くことで煩わしさを回避する。高校時代をどう過ごすか、極端に言えば「集」・「個」における心地良さが垣間見えていた。

    台風を理由に帰宅しない学生の恋愛模様と両親の離婚により離れ離れになる兄弟の複雑な思い、そんな内容を中心に思いを相手に伝え、ぶつける。その行動を音楽(ウエストサイドストーリー、大塚愛「金魚花火」など)に乗せて躍動させる。想いがうまく伝えられない、羞恥、初々しさ、時に嫉妬・羨望など高校生らしい瑞々しさが微笑ましい。

    様々なシーンが観客の神経を甘噛みしてくる。公演はリアル恋愛の写し絵のようであり、誰もが似たり寄ったりの過程の恋愛に投影されているようでくすぐったい。日常であれば男女の距離を縮めるのに時間が掛かるかもしれないが、台風という異常時の中で、一気に男女という性を意識し近接してくる。

    学校内、夏休み前の一夜、台風という限定した場所・時間に青春という限られた一面を重ね合わせているかのようだ。シーンは変わるが、それらを収斂させることはしない。むしろ、校内で起きている様々な人間(男女)関係を開放している。

    セットはパイプ組みの粗いもの。それは、色々な場所でのシーンを観せるため、空間の伸縮性に優れていると思う。また役者は常に舞台上(袖も含め)におり、演技している者と控えている者、いずれにしても同一空間(校内)にいることを知らしめる。だから放送部のラジオジョッキーの呼び掛けが生きてくる。
    さらに粗さは、青春そのものの象徴的な表現。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/08/11 17:27

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