「シン・浅草ロミオ&ジュリエッタ」 公演情報 劇団ドガドガプラス「「シン・浅草ロミオ&ジュリエッタ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    11年目に入ったドガドガ+の新春公演。(ネタバレ追記2017.2.21 )

    ネタバレBOX

    舞台は浅草吉原。時は江戸、五代将軍、綱吉の時代。生類憐みの令をだし、犬公方と呼ばれたことで有名な将軍だ。様々な生き物のうちでも特に犬を大切にしたのは、彼の干支が戌年であったからだという。何れにせよこの吉原に於いては世俗の権力もそのままでは通用しなかった。武士であっても刀を持ち込むことは禁じられていたし、籠に乗って吉原に入ることもご法度であった。この吉原で権勢を揮っていたのが弾左衛門である。弾左衛門とは、亡八者、六道の外れ、河原者など士農工商に属さぬ被差別者を牛耳っていた統領である。この弾左衛門には、女信長と仇名される美しく強い娘、じゅりえが居た。一方、赤穂浪人、毛利 小平太は赤穂家中最強の武士であった。この二人が運命的な出会いをするが、郭の者が武士に懸想することはご法度であった。これを破れば傾城の世界と尋常な世界との黙約が破れる為、弾左衛門は断じてこの恋を許す訳にはゆかないのである。だが、障害があれば恋が増々燃え上がるのは必定。運命は、この二人を見逃さなかった。然し、恋を成就させれば恋人を奈落に着き落とすことになるのも必定。二人は悩みに悩むが、討ち入りまでの間はじゅりえが小平太に技を伝授するという形で夜毎会う。然しながら、いざ討ち入りとなれば、小平太は武士の本懐を遂げ、成就すれば切腹は免れない。闘争の過程で火が付けばその目が狼の目と変じる所から人呼んで狼目男(ロメオ)とは彼の通り名であった。一応、今作でメインストリームを形成する二人の名が、若い恋人の悲恋を描いた「ロミジュリ」に関連付けられているのみならず、今作では多くの登場人物名が、様々な文化的遺産、歴史などと密接に絡んでいる。弾左衛門の姓は、今作では犬神だが、歴史的には浅草である。だが、犬神となっているのは、犬公方との関わりを表していようし、サブストリームで自ら破瓜を為す気の強い女郎を演じる品寅はその気性の気高さを表す品に東洋の猛獣の王、虎を掛け更にフランク・シナトラを掛けている訳だし、品寅の先輩格に当たる看板花魁大鳥居(オオドリイ)はヘップバーン、後輩でライバルでもある花魁は得比寿(エルビス)プレスリーに掛かっていると同時に浅草寺の弁財天の七福神仲間である寿老人や恵比須とも掛かっていよう。大鳥居にした所で、神社の鳥居に掛かっていると読める。更に、この朝日楼の女将は、その名を毬鈴(マリリン)という。無論、モンローだ。朝日楼は名歌に出てくる女郎屋の名である。また深読みすれば、虐げられている女郎たちの名は、日本の宗主国であるアメリカに対する庶民の歯軋りと取れなくもない。まして、ここは吉原である。権力が無暗に手出しできぬエリアでもあるのだ。そこで、最も虐げられた者達が自由の声を挙げることは必然である。
     女の意地や差別・被差別と弱者たちの置かれた立場をさらりと忍び込ませることで作品は、単なるエンターテインメントに終わっていない。先ず、赤穂最強の武士狼目男に剣技の手ほどきをするのが、じゅりえであること。小平太より強いじゅりえが恋の炎故に心中の道行を選ぼうとすることが若く美しい二人の恋に似つかわしく、故にこそ、この愛は実に美しい。この美しい恋が、狼と犬の遠吠えで象徴的に表現され、一幕と二幕の印象的なシーンと交感すると同時に、ファーストシーンと二幕の頭のコレスポンダンス(交感)も歌って踊れる劇団というコンセプトを目指すドガドガ+のコンセプトに見合う所迄若手が成長していることを作・演出が認めたということでもあろう。



    2

    2017/02/19 02:17

    0

    0

  • 追記しておきました。更なる追記があるかも。
                 ハンダラ 拝

    2017/02/21 16:37

    とりあえず初日お疲れさまでした。明日が早いので、追記は後ほど。
                               ハンダラ 拝

    2017/02/19 02:19

このページのQRコードです。

拡大