凍てつく夜にはライムを温め 公演情報 サンハロンシアター「凍てつく夜にはライムを温め」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    初日ソワレを観劇。寒風が吹き、凍てつくような夜にライムならぬライブ(公演)で心が温められた。物語は、地を這う虫の目から見た、都会というジャングルを生き抜くことの難しさを思わせるもの。
    物語は面白い。しかしシチュエーションが関係していると思うが、気になるところが…。そちらの方の印象が強くなったのが残念。
    (上演時間1時間15分)

    ネタバレBOX

    梗概…街の片隅に集まり惰眠をむさぼるホームレス。そのメンバーの素性は、元「ながし」の演歌歌手・永ちゃん(よこやまよしひろサン)、「祭り太鼓」の花形・ギスやん(ナガセケイ サン)、風俗通いのイカサマ野郎・フー太郎(内藤トモヤサン)、空き缶拾いの文字中毒・オーさん(田野良樹サン)、知的障害者のトオル(垣内あきらサン)、存在感ゼロの京都老舗料亭の三男坊・ガッソ(山岡弘征サン)ということがナレーションで紹介されるが、その真偽は分からない。いずれにしても何らかの才能・特技があり、それを活かして今一度夢を見る。
    その方法が既存には無いようなラップをyoutubeで配信すること。伝説のyoutuberになること。帰る家を捨てた中年男どもの悲喜交々。その男たちに80歳代の魅力的な婆さま2人が絡み、夢が実現出来そうであったが…。

    公演は、地を這うような人々(ホームレス)の目から見た政治や経済に対する不平・不満を吐き散らしながら、何とか生きている。そんな状況下でも夢を失わない。その過程で昔とった杵柄も活きてくるが、現実はそんなに甘くない。実に卑小な人間の姿が見えるが、その心底にある人間らしさのようなものに共感を覚える。

    気になるのが、1990年代の新宿西口にあったホームレスの人々の住む ダンボールが強制撤去されたことを思い出す。公演では2020年の東京オリンピックに向けてかかる費用が豆腐を数えるように一丁二丁(兆)と膨れ上がってくるが、足元を見れば生活困窮者がいるのも事実。外観・風紀を建前とした都会のホームレス問題、それをナレーションによる説明だけでは弱い。上演時間からすればもう少し膨らませることが出来たのではないか。

    もう1つは、舞台小道具が新聞紙の張りぼてだ。味わいはある。場面に応じて配置を変えるなど状況説明も丁寧であった。しかし、ホームレスの描きだとしても、群衆イメージがダンボールを人型に刳り貫いただけというのはどうだろう。人間が薄っぺらく見えてしまう気がする。

    ちなみに、ライムはラップ”韻(rhyme)"のことを指すらしい。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/02/15 18:32

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  • ご来場いただき誠にありがとうございました。ご意見もありがとうございます!
    作品作りのなかでもっともっとできることを考え、次回はより豊かな物語を紡いでいきたいと思います。ありがとうございます!

    2017/02/16 10:16

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