モーリタニアの空 公演情報 劇団PATHOS PACK (パトス パック)「モーリタニアの空」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい公演
    人間が生きる...その様を庶民の目線でしっかり描く。そこに現代社会が抱える問題をさり気なくちりばめ...いや核心的に表現した秀作である。
    登場する人々の苦悩と喜び、そしてそれを優しく見つめる...その俯瞰した世界観が場面に広がりをもたらす。
    タイトルはアフリカ大陸にある国「モーリタニアの空」であるが、物語の”空”は日本、その理由は...

    ネタバレBOX

    一人の人間ドラマであり、同時に社会ドラマとしても骨太の内容を織り交ぜている。逆に社会性ある内容を個々人の視線で捉えた物語とも言える。どちらにしても拱手傍観でよいのか、という問題提起をしている。
     主人公という人間が、私という三人称の立場に変え、何も持っていない、誰にも知られないことは存在しないに等しい。この俯瞰したような表現と、擬人化したカラスの群れ、それは暗に全体主義に飲み込まれる民主主義の危うさを暗喩しているようだ。飢餓・紛争、それらのヒューマン報道写真家の彼の存在。。。そこに民衆の視点が重なる。しかし、その彼が亡くなり、社会的な意味での危惧と残された彼女の人間的な心情という、表現的には正しくないが、硬軟の両面から捉えた秀作である。

    他愛ない日常の暮らし出来事が、女性の凍って閉ざしていく心を優しく氷解させていくような、そんな温かさに救われる。日常の暮らしは生きている証、悲しい出来事は、人との繋がりの中で起こる些細な変化や刺激で忘却させてくれるかもしれない。それは人間が持っている良くも悪くも特徴だろう。それがなければ、悲しみだけが堆積してしまうのだから。

    (2015.12.28追記)
    2015年12月26日に「禁じられた歌声」が公開された。監督はモーリタニアに生まれ、西アフリカ・マリで育ったアブデラマン・シサコ氏。
    町をジハード主義者が占拠し音楽は禁止、サッカーも出来ない。未婚のカップルは投石によって公開処刑される。この映画は2012年にあった投石処刑事件に基づく悲劇を美しい映像で描く。平和で美しい場所で悲劇が起きた。残虐行為を残虐に見せるだけではなく、暴力の異常さを際立たせる。必見

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/09/07 18:07

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