美しい日々 公演情報 TEAM 6g「美しい日々」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    深みのある内容を丁寧に描く
    物語の展開が丁寧で分かり易い。観客に観てほしいという姿勢に好感が持てる。
    そのテーマから重たくなりそうだが、その演出はどちらかというと軽妙で、問題意識もさらりと観せる。重厚感を好む観客には物足りないかも...。しかし、自分は本公演の観せ方でも物語に引き込まれたし、楽しめた。

    ネタバレBOX

    梗概...プロローグがラーメン家での他客の因縁をつけられ暴力を見ないふり...暗転して舞台は、病室内に変わる。主人公は高校の教師であり、甲子園出場が決まっている。その学校の生徒が万引きをするが、その犯人は野球部員でる。それを見ていたが学校や世間体を気にし、誤認逮捕された生徒を庇わない。そしてその生徒が自殺未遂を...
    一方、この病院に医療過誤の噂があり、それを取材・調査している女性弁護士が登場する。この二つの話は直接交わることなく、別の話のように展開していたと思ったが...。エピローグはプロローグへという、芝居でよく見かける展開に収まる。
    この舞台セットは、下手にラーメン屋のミニカウンター、そして紗幕の奥が病室になっている。そこにはベットがあり入院患者が4人。さらにその奥に二階部が設けられ、そこにも紗幕がある。そこは屋上で、自殺未遂を図る場所をイメージさせる。

    この公演は、脚本・演出が丁寧で、また舞台セットはそれを助ける見事な作り込みである。萬劇場という奥行きのある舞台の特長を十分生かしていた。

    この公演を表層的に観れば医療過誤の追求が弱いと思う。ラストは女性弁護士の父親がこの病院の医療(手術)ミスで死んでしまう。それを告発するのが、直接ミスした医師を医学界から追放するだけで終わっている。
    本来であれば、個人責任の追及だけではなく、病院全体の隠蔽工作も含めその態勢を追求すべきところであろう。

    しかし、観方を人の心のあり方...真実と正義というキーワードから見れば、二つの物語は緩く交わる。教訓のようにならず、面白楽しく観せるという描き方は成功していたと思う。人は誰でも煩わしいことには関わり合いたくない、自己保身があるのではないか(少なくとも自分にはある)。その気持の自己変革を底流に描いており、テーマからすると重苦しくなりそうであるが、そこは軽妙だがしっかり観せており、自分は好感を持った。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/08/30 11:52

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