河童 公演情報 DULL-COLORED POP「河童」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    枠組とスタンスをそのままに
    観劇日の通勤時間と、劇場に向かう電車のなかで、青空文庫でx十年ぶりに原作を飛ばし読みしてから観劇。

    原作の企みと、当時としての「ナウさ」の質感が、作り手によって、したたかに今の感覚に置き換えられ演じられていて、
    ひとつずつのシーンがとても面白く、見入ってしまいました。

    ネタバレBOX

    思うに、この小説が世に出たとき、
    描かれる世相についても、風潮についても
    あまりにも当時を切り取り走っていたので、
    だからこそ、それは狂気の態で描かれねばならなかったようにも思う。

    でも、一方でその枠組み自体は、時代に阿るものではなく、
    芥川先生が、シニカルに眺めていた、
    人間というものの普遍に裏打ちされていたように思うのです。
    で、その普遍の枠組みやシニカルな視点は
    原作のままに残し、
    時代によって色や形がかわったものを、
    作り手は、21世紀の今様に置き換えてしまった・・・。

    だから、芥川の世界でありながら、
    古臭さも、陳腐さもなく、
    でもどこか尖った、狂気をはらんだような世界観が
    そのままに観る側に訪れる・・・。
    アイドルしかり、役者達の身体の使い方しかり・・・。
    舞台から今の芥川先生が描いたであろう河童の世界の肌触りに
    時代を置き換えることなく、とても自然に捉われてしまう。

    作り手の企みのしたたかさと
    なによりもそれを成り立たせる役者たちの様々なベクトルの表現力に
    舌を巻いたことでした。



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    2014/07/28 18:28

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