コナンの観てきた!クチコミ一覧

1-20件 / 821件中
世迷子とカンタータ

世迷子とカンタータ

9-States

駅前劇場(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

源泉枯渇に客離れ
閑古鳥の鳴く老舗旅館が舞台であるけれど、悲壮感はほぼ感じられない
旅館の亭主をはじめ中居さんや料理人、観光協会の方々が、めっちゃ面白いから
もう お客欲しがり過ぎ(笑)
沢山笑える喜劇として成立しているのだけれど、この物語にはもうひとつの側面が

作品を生み出す人にとっては常に付きまとう問題
本当に自分のやりたい作品か、一般大衆の欲しがる作品か
売れる要素も取り入れながら自分の表現世界を創り上げるというのが売れっ子であり続ける秘訣ではないかとも思うのだけれど、そこに人生観が絡んでくると本当に難しい、特に本作のような場合は・・・
ネタバレ厳禁でこれ以上は ですが 自分の絶対だと思っている価値観を他者(特に近しい人)の価値観と照らし合わせて、それが本当に“絶対”なのか検討してみるのも決して悪くない と主人公を観ていて思ったのでした
暗転中、モニターに提示される言葉の数々にも興味を惹かれるので、暗転時間にも価値を生み出せる という見せ方も良かったです

そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった

PureMarry

江東区文化センター(東京都)

2024/04/05 (金) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

王道ミステリーを正統派の演出、安定の演技力でじっくりと見せてくれる本格推理劇
孤島にポツリと建つ高級別荘に招かれた8人の客人
使用人とその妻が迎え入れてくれるも主宰者は不在
計10人、1人ずつ殺されていく中、誰も別荘から逃げ出す術もなく、まさに疑心暗鬼の人間模様
昔、観たことのある演目ではあったけれど、このヒリヒリ感をもう一度
初見ではなく犯人に目星がついているので、ナルホド犯人っぽく見えないよね、うまく立ち回っているな、と先見の明で観進めていたのだけれど、なんと別の人が犯人でした
記憶違い?なんか騙されました(笑)
そうかなるほど あなたでしたか、全くの予想外
犯行動機にも納得しながら、これまた予想外のエンディングへ

欲を言えば王道枠からちょっとはみ出したキャラクターの冒険があっても良かったかも
今もってスタイルも美貌も全くお変わりない夏樹陽子さんもまたミステリーなのでした

ワイルド番地

ワイルド番地

ホチキス

あうるすぽっと(東京都)

2024/04/05 (金) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「決闘」するのに事前に市役所で書類申請しなきゃならない。というオモシロ発想から、何ともヘンテコな「決闘」のカタチ&「決闘課」という役所の人間関係の2WAYで思いっきり楽しめるショーアップコメディーでした
矢継ぎ早に展開される可笑しい仕掛け、その盛り沢山な演出に痛快なほど応えている役者さんのハイクオリティな演技には“ショーアップ”という冠はどうしてもつけておきたい
「なにそれ!(笑)」と思わず口に出しそうになるのを何とか(笑)だけにとどめて、これはもう幾らでも観ていられる

最後にどんな「決闘」が待っているのか、だんだんと予想はできてきましたが、それがこれまでの決闘の中でも超絶面白かったし、辿り着いた着地点も凄く良かった
終始笑いっぱなしだったけれど、人が争う事について様々な考察が組み込まれていたなぁとも思え、本当に楽しくも巧妙に創られた公演だったと思いました

白鳥先生と過ごした2日間

白鳥先生と過ごした2日間

enji

調布市せんがわ劇場(東京都)

2024/04/03 (水) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

母親が精力的に生活しているのはとても喜ばしい事なのだけれど、久しぶりに帰ってきた息子の目線で観ると妙な距離間を感じてしまい気になってしょうがない
主演の親子以外にも二組の親子が描かれ こちらも凄く気になるし、気になる人物は他にも
様々な問題や悩みが渦巻き、実は重い空気に包まれても全くおかしくないところ、明るい外国人たちの存在もあって笑いまで生まれるという、こういう描き方もあるのだなぁと
痛みは痛みとして、それでも生きていかなきゃならないのなら・・・
いろんな人達の“これから先を生きていく”その姿を見届けることが出来て良かった!

先月自分も帰省し、親の相変わらずな部分に安心したり、老いが進んでいる部分に心配したりと様々な思いと対策を持って東京に戻って来たので、とても心惹かれるシチュエーションであり、思いのほかバリエーション豊かな作品であったと思いました

レンタルディレクター

レンタルディレクター

演劇企画アクタージュ

studio ZAP!(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

アクタージュさんには独自の演技メソッドがあるとしか思えない
“STRAYDOG”さんにも似た突き抜け感
日常風景であって日常でない、大阪人顔負けのコッテコテ&どことなくシュールな匂い
最初こそ一歩引いたスタンスで観ていたものの、これが段々クセになってくるというか いつの間にか笑いをかみ殺してのアクタージュワールド
今回これまで役者として出演されていた竹下亘さんの初 作・演出作品になるのでしょうか
自劇団の魅力となり得る部分を良く分かっているなぁという印象で、ピンポン玉が弾んでいるようなフットワーク、猥雑な面白さがありながらシーン(日時)が変わるごとに衣装チェンジされていく細やかさも活き、本作に出演されている主催 大関雄一さんもめっちゃ楽しそう(笑)

体感的にはコメディー8割のドラマ2割
とは言えラストに近づくにつれドラマ部分が俄然生き出し、ちゃっかりロマンスも
最後に涙が滲んできたのはジ~ンときたからなのか、笑いをかみ殺し過ぎたのか
キーワードは“突き抜け感”
各々の個性を演じ切った役者さん達が清々しくキラキラ輝いて見えるのでした

人形の家

人形の家

劇団東京座

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

HUSチーム千秋楽を観劇
入場時にジャスミン茶(ペットボトル)を頂き、いざ会場へ
すごく丁寧に作り込まれたクラッシックなセットにまずは驚き
そして舞台がめっちゃ近い!
座席から舞台までの距離、推定40cm
案の定、凄い臨場感でした
一度、シス・カンパニー主催 鉄板プロ仕様の同作品を観ていますが、やはり会場の配置を大幅に変えてまで舞台と客席を接近させていたので、この演目と目前の臨場感は相性が良いのでしょう

3人の子宝に恵まれ、夫は銀行の頭取に昇進
更にその夫には「可愛い小鳥ちゃん」と溺愛され、まさに幸せ絶頂なはずのノーラ
それなのにどこか漂う不穏な空気はどうやって創り出しているのだろう
やがて不穏な空気は本物の窮地となってノーラに降りかかってきて・・・

どの役者さんも健闘されていましたが、特にノーラ役はジリジリ追い詰められていく心情表現を時間をかけてじっくりと、そして最大の見せ場がラストに控えているので相当な重圧だったはず、見事に演じ切られた勇姿に好感
若い役者さん達で構成されているため各役柄に課せられた重厚さまでは仕方ないにしても、原作が持つ意味を深く追求、真摯に演じようとする姿勢には並々ならぬ覚悟と熱量を感じました
観る側もこれに負けじとガッツリ向き合う気合いが必要だったかと、いやマジで

見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

ことのはbox

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

かつて女性達が如何に男性社会に押さえつけられていたのか、現代とのあまりの違いに感じ入ってしまった前半
そしてある事件が起こってからの展開に憤慨、応援、切なさ、もう様々な感情で揉みくちゃになっているうち、あっという間に迎える事となったエンディング・・・あぁ これは確かに名作!
最初は群像劇として観ているも、全体の調和がとれた見せ方や特定の人物にスポットを当てた見せ方、その場面ごとでの“人”を感じさせるテクニックが素晴らしく
ことのはboxさんが一丸となって作品に命を吹き込んでいく、公演に対しての意気込みがひしひしと伝わってきました

前回公演でご一緒した劇友さんが、もう「見よ、飛行機の高く飛べるを」が大好きで、勿論ことのはboxさんでの公演も全部観ている。と話されていたので、自分も是非観てみたいと思っていた作品
そうか、これかぁ この感情か・・・ 何度でも観たくなる気持ちが凄く分かりました

モノノ怪~座敷童子~

モノノ怪~座敷童子~

舞台『モノノ怪~座敷童子~』製作委員会

IMM THEATER(東京都)

2024/03/21 (木) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

原点は過去にテレビ放映されていた和製ホラーアニメ、今年夏には劇場版アニメの公開も控えており、知り合いにこの公演を観に行くと話したら、すごく羨ましがられ「是非、観てきた感想を聞かせてほしい」と約束させられた事もあって結構な人気作品なのだと思う

もともとオムニバス形式の作品
今回はその中の1エピソード「座敷童子」に絞られているので、ひとつの話をじっくり味わえるというのが良かった
ダークヒーローを主役に妖しくもスタイリッシュな怪談といった様相
クールな孤高キャラが怪奇現象の真相を探り出し見事解決へと導いていくも、なんともやり切れない残像が
「あまたの妖異と対峙するとき、浮かぶこの世のあはれとは…」
この ほんのり残る苦味も作品の持ち味なのでしょう

願望機

願望機

演劇ユニットG.com

ザムザ阿佐谷(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どんな願いでも叶えてくれる〈願望機〉を目指す人々
様々な時代の人々が永遠の命を追い求めた手塚治虫「火の鳥」をどこか彷彿させるも全く異なる物語

<願望機>はハッキリとした実体が見えてこないのに加え、どうやら人間の手に負える代物ではなさそう
原子力のように扱いを誤った場合、大変な事になるのではないかという気味悪さに加え、「願い」の中に含まれる人の深層心理まで読みきれない不確かさ
怖すぎて自分なら絶対に手を出したくないが、それでも密猟者たちは侵入禁止区域へと向かっていく
非日常だからこそ見えてくる人間の本質・・・舞台化するのにはかなりハードルの高そうな海外作品でしたが、まるでオリジナル作品だったかのよう
原作とG.comさんとの相性の良さもあるのでしょうが、何より確固たる世界観があってこそ
開演後、階段を上り地下劇場の外に出てようやく「あれ、現実界に戻って来た!」と我に返るほど別世界体験でした

純白観想文

純白観想文

劇団演奏舞台

演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/16 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なかなかの頑固者とみえる老人と来客(老人が教師時代だった時の教え子)お調子者とのコントラスト、音響効果(生音が大活躍)も手伝って、何とも珍妙な空気感
オーバーアクション気味に感じるやり取りにはどこか懐かしい味わい深さがあるも、これはしっかり現代のお話し
ここに棲む老人の部屋だけ時の流れが滞っている様にも感じるし・・・頑固だけなのか・・・正常ならざる者の欠片が散らばっている様にも

芥川龍之介「羅生門」がキーポイント
やり取りの流れから、やがては絶望的な哀しみに包まれていくのだけれど、最終的にはこちらに問いかけ、語りかけ、こじ開けてでも前向きな方へ進む活力を受け取る事ができました
舞台一丸(いちがん)となって生で伝わってくる気迫がハンパなく、もし本気の熱量でなかったら(直接的な応援台詞があったわけでもないので)ここまで手ごたえあるメッセージを受け取ることは出来なかったのではないかと
アトリエ公演は今日1日だけでしたが今月には中板橋 新生館スタジオでも公演されるようですので是非

いい旅、現実気分。

いい旅、現実気分。

人間嫌い

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇場「楽園」の地下階段を降りるとCAさん(主催・作・演出の岩井さん)と海辺のBGM(ちょっと独特)がお出迎え、何やらいい旅が始まりそう
実際公演が始まると女子大生達の国内旅行を追体験できるような仕様になっていてとても面白い
更には現地(旅行先)で働く女性達の心情も繊細に描かれ、微妙な年齢差からなる2層構造、両者の距離間の変化も興味深く、楽しめる世界がぐっと広がって観ていられる

「若い女性達のリアル」に特化した劇団人間嫌いさんも10周年
年齢的に円熟期というには早いと思うけれど、唯一無二のエンターテイメントスタイルがしっかり確立できていることを面白くもしみじみと体感できる公演
インバウンドというか今時の旅行業界事情を匂わせる韓国人観光客、
いかにも初対面な雰囲気が活きた日替わり男性キャストによるシーンの見せ方も巧い
こういう言い方をすると彼女達から「そんなダサい言い方やめて!」と言われそうだけれど・・・なかなかの珍道中でしたね

OH!マイママ

OH!マイママ

劇団NLT

シアターサンモール(東京都)

2024/03/07 (木) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千秋楽を観劇
「この秘密だけは決して人には喋らないでください!」
国会議員の家庭の話なのでもっと政治的な秘密かと思っていたら陸軍大佐が持ってきた「とんでもない秘密」は本当にとんでもない秘密で思いっきり(笑)
陸軍大佐が秘密の核心を突く5秒前くらいに「あれっひょっとして!」と思いついたのだけれど、本当にそれを口にしたので、もう会場中が大爆笑
この秘密が物語の肝(きも)とすれば、その後の展開は面白いこと間違いなし と確信できたものの、やっぱり役者さんの手腕で笑いの幅はいくらでも広がっていくものなのだなぁと実感

第1幕のかなり早い段階で笑いに火を付けたままガンガン盛り上がっていくので(残り時間まだたっぷりあるのに)こんなにとばして大丈夫?と思いだした第1幕のラスト
とんでもない勘違い発言が飛び出して思いっきり(笑)
彼がどんな勘違いをしているのか彼の口から飛び出す5秒前くらいに「あれっひょっとして!」と思いついたのだけれど、本当にそれを口にしたので、もう会場中が大爆笑
(この5秒前システムは絶対に戦略でしたね)

混沌の第2幕、巧みに流れを変え笑いは更に加速しまくって最後まで笑いは絶えることはなかったという
海外コメディーは劇団NLTさんの得意とするジャンルだとは思いますが、それにしても脚本の面白さを最大に活かしまくった演技と演出
舞台美術も隅々まで繊細に出来ているので物語の世界観に入りやすかった
あ~会場中の皆で笑い倒せる舞台はやっぱり気持ちがいい!

WITHOUT YOU

WITHOUT YOU

S-SIZE ネルケプランニング キョードー東京

IMM THEATER(東京都)

2024/03/03 (日) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「RENT」がもう大好きで来日公演だけで収まらず日本人キャスト版まで観に行っていた自分にとって、これはめっちゃ感慨深い企画公演でした
マーク役で活躍された初演時の舞台裏や家族の話など、ベースは一人語りでありながら、エンターテイメントとしての魅せ方もバッチリ
全く知らなかった告白は驚きでした
ワンマンミュージカルとして「RENT」からの抜粋ナンバーはそりゃもう嬉しい限りでしたが、今回の為につくられたオリジナルナンバーも等身大の姿を歌い上げていて素晴らしかった

観劇前に手持ちのDVD(劇場版と同じメンバーでの映画版)を改めて見て向かったのですが
観終わった後には不思議と「RENT」を見終わった後と似た余韻が
とりあえず興奮冷めやらぬまま、見ていなかったDISC2の方、ドキュメンタリー集「RENT」誕生の軌跡 を見てみたいと思います

ウィリアムとウィリアムのウィリアムたち

ウィリアムとウィリアムのウィリアムたち

サンライズプロデュース

サンシャイン劇場(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

東京初日、大盛り上がりのスタンディングオベーション!
「シェイクスピアの作品なのか、違うのか、それが問題だ」のキャッチコピーからして面白い
これ偽物じゃないか!と裁判沙汰になるってどんな作品だったのか大いに気になるところですが、なんと実話がベースになっているそう
その問題作の持ち主となる青年に大内リオンさん、目がキラキラして少女漫画から抜け出たよう
彼の父親、何とも世俗まみれな言動で笑いを誘ってくれる駒田一さん
この親子以外、全ての役を担う岡幸二郎さんはさすがの存在感
人間ならざるものを匂わす妖艶さと突き抜けた歌唱力で圧倒されまくり
ソロも良いけれど二人で三人での掛け合いとなるとハーモニーの迫力で洪水のような快感が押し寄せてくる
スタンダードなミュージカル作品として君臨するにはストーリーにもうひと捻りあっても良いかなとも思いましたが、ミュージカルというのは演出と役者さん次第で作品力がどんどん高まっていくという好例
魔法をかけられた様な、というか痺れる中毒性あり
終演後のリピーターチケット売り場には人だかりが出来ていました

寉峯~カクホウ~

寉峯~カクホウ~

ラビット番長

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/22 (木) ~ 2024/02/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

主軸となるのは将棋好きの青年と伝説の駒師(将棋の駒を作る職人)の人生
走馬灯のように移りゆくシーンの数々
二人別々の人生がやがて直接交わっていくまでの間、ヘタすると方向性に迷いそうなところ、さすが地盤のしっかりした劇団さんだけあって楽しく安心して観ていられる
ニュースになるような事件は起こらなくとも、誰もが生きていれば直面しそうな出来事の数々が時には可笑しく、時には切なく突き刺さってきて、とても親しみやすい
アトラクションに例えるならジェットコースターやスリリング系ではなく「イッツ・ア・スモールワールド」タイプ
観終わった後もまだ切なくキラキラの欠片が煌めいているよう
来月、帰省する予定なので父親ともガッツリ語り合いたいと思う
この公演で描かれている通り、男親の不器用な愛情はどこか照れ臭いものではあるけれど

掟

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鼻息荒く地元の政界に飛び込んだ青年の奮闘記、と言ってもいい内容でありながら困難多き現実味と人間描写の生々しさで、いわゆる「奮闘記」感は吹き飛びました
若くして市長となった主人公の行動力や政治論理の正当性に、よしガンバレ!と思う一方で、いやアンタその言い方はちょっとまずくないか…と思いは複雑
古参議員の中には、こんなに足を引っ張る人間、損失を与えかねない人間は淘汰されるべき!と憤慨する一方で、いやそこの気持ち分らなくはないかも と思う自分が申し訳なさそうに隠れていたり…で更に思いは複雑
それにしても頭の良い人間がいくら集まっても足並みがそろってなければ、シンプルな事さえどんどんこんがらがっていくものだと生で体感しました

俯瞰で観ているからこそ、本人達には見えていない部分が沢山あるようで
墓穴ばっかり堀って何やってんだか などと上から目線で見つめながらも、じゃあこの立場なら自分は?この人なら?とブーメランが直ぐにかえってきそうで、う~んと唸ってしまうばかり
途中、それまでのモヤモヤを見事に払拭してくれる発言に「そう、まさにその通りっ!」と興奮して拍手しそうになったり、あまりの顛末に「え~マジか!」とのけぞったりで、相当に入り込んでいたよう
報道陣の描き方、報道のされ方も興味深く、前レビューでかずさんが書かれていた通り、まさに観終わった後すぐにに激論を交わしたくなる公演でした

不思議な国のエロス

不思議な国のエロス

MIXZONE

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/02/16 (金) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

戦争を終わらせるため、敵味方を超えた女達のセックス・ストライキ
怒る男達、巨大スケールのかかあ天下は果たして世界平和をもたらすのか
寺山修司の脳内ギリシャを覗いている感覚で観ていると楽しい

色んなジャンルの楽曲要素がチャンポンになった音楽劇
初っ端から「女ができること」を歌った歌詞と曲調があまりに可笑しくって笑ってしまうし、バラード調のメロディーは切ないラインを攻めてくので内容がより引き立って聴こえる
繰り広げられる刹那の輝き、観終わった後は夢からさめたよう

舞台版『舌切雀』

舞台版『舌切雀』

舞台「日本昔ばなし」製作実行委員会

ヒューリックホール東京(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

心優しい御爺さんには金品が与えられ
欲深く底意地の悪い御婆さんには罰が当たる
残酷な表現はあっても、最終的に溜飲が下がったからまぁいいのか…というのが昔話「舌切り雀」
幼少期ではそれがおおよその印象じゃないかと思うのだけれど、全く違った側面を見せてくれる舞台版「舌切雀」

男と女の色合いが濃い夫婦愛の中に入り込んでしまった雀
夫に見える雀は愛らしい少女で(ミュージカル俳優じゃないかと思うくらい)声が綺麗
俄然、純愛不倫という言葉が浮かんでくる
遂には切りつけられる雀も可哀想だけれど、これでは妻があまりに・・・観ているうちに妻が持ち帰るであろうつづらのくだりが凄く気になってきて・・・一体どんな結末が待っているのか

「誰よりもおじいさんがおばあさんを愛した証拠」かぁ、大人の女性達が暴動を起こしそう(ウソです)
理不尽だけれど、それ故感慨深さの残る物語
観る側の立場によってざわつき方が違いそう
繊細でユニークな映像技術が御伽草子の世界観に一役も二役も買っていました

ネタバレBOX

本作は太宰が物語を執筆しているというスタイルをとっており、加えて萬田久子さんと片岡鶴太郎さんの老夫婦の存在が物語を優しく包み込んでくれるのでみるみる理不尽さが和らいでいくのでした

はなすすき

はなすすき

相州雅屋

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2024/02/10 (土) ~ 2024/02/13 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

期待を裏切らない王道の人情時代劇
明治座の敷居を低くしたようなというか、むしろもっと親近感ある雰囲気
なのでひとりで観に行っても良いし、夫婦や友人と一緒に、ご近所さん同志など、大人達の娯楽として好ましい公演だったと思います

何かと訳ありな人が集まってくる界隈
木材問屋の女将おせん、それぞれに事情を抱えた3人の夜鷹、茶屋の娘など、女性達が軸になった物語
喜怒哀楽、色んな表情を見せてもらいました
どうか皆の生活が無遠慮に荒らされず、平穏に暮らせますように・・・願いはひとつ これが人情時代劇の醍醐味
主人公おせん役の風祭ゆきさんは酸いも甘いも噛み分けた貫禄と気品があって、もと花魁という人物像にピッタリ

ミュージカル『狂炎ソナタ』

ミュージカル『狂炎ソナタ』

ミュージカル『狂炎ソナタ』製作委員会

ステラボール(Stellar Ball)(東京都)

2024/02/02 (金) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

“天才”という概念に縛られ、悩み苦しむ若い作曲家
そんな彼に追い打ちをかける容赦なき指導者
破滅へのカウントダウン、さすが韓国作品は人の業を魅せるのが巧く、グイグイ突き進むスリリングさが自国でヒットした理由なのだと思うけれど、もうひとつ
ミュージカル作品だということ
ストレートで演じられるよりもずっとドラマチックな仕上がりで怖いだけじゃない
本作は韓国の作品を日本の俳優さんが演じ、全て日本語に訳されての公演
琴線に触れる旋律と感情の入った台詞が融合することで如何に表現世界が拡がっていくのか実感できる公演でした

ネタバレBOX

バックの生演奏だけでなく役者さんまでもがピアノを
演技の中に演奏を取り入れる事ができるのはかなりの強味
良いシーンが生まれました

楽曲の良さを最大に引き出す為、歌唱力が増強されれば更に良かったと思います

このページのQRコードです。

拡大