卓 公演情報 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-20件 / 23件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    生糸の生産で成ってる旧家が
    戦後衰退していく様を丁寧に描いていた
    約2時間の作品でした
    2方向客席で舞台は8畳の畳和室でした
    家と蚕を準えて見せる様は
    雰囲気的には江戸川乱歩の世界観
    みたいな感じがしたなぁと
    目が離せなかったです

    ネタバレBOX

    プロローグでは
    もう消化能力も減退した老婆が施設に居る様で
    食事にトマトを望むも叶えて貰えず
    高価だからと言われてやんわり拒否されても
    後から主人が来るから支払いは出来るから
    トマトを食べさせてと望む話があり
    エピローグでは繰り返された
    食事の話の最後
    若かりし頃に戻った女性に
    男性=主人さんが迎えに来る処で終演となり
    それは老婆の見た夢か現実かは
    観客の想像に任せたオープンエンドで
    幕となっていました

    本編は神棚に向い家中の者が玉音放送を聞き
    大東亜戦争が終わり日本が負けた事から
    話が進んでいきます......
    衰退してゆく家に囚われた
    最後の血族であるお嬢様が
    先の老婆のようで
    まだ10代の身で家を残すために
    婿をとれと大旦那様に言われて
    素直に従えなかった処で
    次々と血脈上の人物が亡くなってゆく
    ミステリーサスペンスな展開ですが
    状況的に犯人は絞り易く
    焦点は殺人動機で終盤に明かされます
    =家の使用人だった大陸から
    大旦那が連れてきた兄妹の妹の方が
    家に囚われたお嬢様を家の柵から
    解き放つための手段として
    家人を毒殺していたとわかるが
    自らも服毒して亡くなり
    お嬢様の婿となる軍人さんも
    お嬢様から離れる事となり
    再び会う約束をするのだが
    叶ったかはボカされて
    エピローグへと続くのでした
    大旦那は死後も霊となって
    蚕の説明と家の衰退をかけた狂言回しをして
    大陸からの兄の方は日本人になりたく
    妹の方は日本人が嫌いで
    殺人を蜘蛛の生態に掛けた
    狂言回しをしてゆく演出でした

    舞台がシンプルな分
    小道具とか衣装等がしっかりしていて
    終盤に舞う桜吹雪は本当に桜の花びら型に
    カットされてて感動しました!!
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    約2時間10分、休憩なし。開演前はちょっと長いな…なんて思ってしまったけど、始まったら舞台と客席が近くて(入って右側の席)見応えありました。終戦直後の旧家の家族、殺人…けして楽しいお話では無いけど演者さん達のテンポの良さで最後まで飽きずに観ることができました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/08/16 (日) 14:00

    心にずし〜んとくるステージ。戦争で多数の人が狂わされた頃の話でしたが、セリフのいくつかは今の時代にも当てはまる示唆に富んだものでした。大きな家の後継者問題、家父長制、戦争の狂気、戦犯狩り、朝鮮史、養蚕、家庭内殺人事件、謎解き、ラブロマンスが1つの卓を囲んで起こる濃い2時間。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    演者さんがみんな巧いのでテンポ良く話しがすすんで、だれることなく終幕へ。ミステリーぽい部分もあるけれど犯人はだいたいわかってるので、犯人探しの要素はあまりなく、朝鮮併合から太平洋戦争で運命が狂っていった人達が上手に描かれている。ただ最後まで観ても私にはオープニングの意味が理解できなかったのが難点。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/08/16 (日) 14:00

    座席1階

    千秋楽を拝見。風雷紡の公演はウッカーガマ以来だったが、今作は見事な出来栄えだった。緻密に練り上げられた脚本、コンパクトかつキビキビと進む演出。無駄を削ぎ落としそれぞれに意味を持たせた舞台美術。そして、8月の終戦記念日前後に設定された公演期間など、文句をつけようのない舞台だった。終演時にハンカチを握りしめている人が何人もいた。客席の満足度を物語っている。

    舞台は終戦直後の長野・諏訪の養蚕農家。複数のお手伝いさんを抱える名家だ。一家が玉音放送に聴き入るところから物語は始まる。その直後、一家を率いてきた当主が突然に亡くなる。さらに、戦死したとも思われていた次男が玉砕の地から復員する。彼は戦地での体験が引き金となって精神を病んでしまっていた。
    舞台はお手伝いさんも含めた群像劇で、当主が朝鮮で事業を拡大したときに連れてきた兄妹も家族となっている。この妹が舞台を大きく動かすプレイヤーとなって、客席をグイグイ引っ張っていく。
    亡くなった当主はその後も白装束で何度も登場し、崩壊していく一家を見つめていく。登場する俳優たちはどれも迫真の演技で、2時間という上演時間全体に感動と緊張の糸を張り巡らした。

    パンフレットによると、今作は16年前に書かれJACROWの中村ノブアキが演出したものを改稿したのだという。戦争がどれだけ深く人生を狂わせるか、人間であることをむしばむのか、政治・社会派劇で知られる中村演出がどのような舞台だったかはとても興味がある。ただ、今作は恐らく、16年前とはまったく装いを新たにして登場したのだろう。その鮮烈なインパクトは8月であることも相まって深く心に刻まれた。秀作だ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    家というのは何なのか?深く考えさせられる作品。「迷光…あるいは」の観劇の際も感じましたが、デリケートなテーマを舞台上に昇華させるのがとても上手な団体だと思っています。今回も凄まじい演技力により役が濃厚に投影されてました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2026/08/14 (金) 19:00

    おもしろかったかと問われれば、正直難しい作品でした。家族や戦争を軸に描かれた人間ドラマ。
    心に何か引っかかって、何かもやもやが心に残った部隊でした。
    ミステリー的な話を期待していたのですが、少し違った人間模様中心の話でした。
    作品の重厚感は抜群で存在感はありましたが、複雑な舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/08/13 (木) 14:00

    価格4,800円

    最初の感想は「この人ら何食って生きてきたらこんなものが作れるのか」だった。

    現代の小劇場演劇はどうあるべきか。
    どんな作品が観たいか。好きか。
    そんなことは観客の数だけ正解があるでしょう。

    それでもこの作品を観て「つまらない」「別に何とも…」という人はいないと思う。
    派手なダンスも歌も殺陣もありません。そういう意味での外連味はない。
    ミステリーとして込み入ったトリックがあるかというと、そういうバリバリ伏線回収を楽しむ作品でもない。

    じゃあ何が魅力なのか?
    圧倒的な芝居力だよ!!

    決して難解・複雑でもクソデカでもないが骨太な脚本に、この世界を重厚なものにする演出と役者陣の肉付け。昭和の大横綱・千代の富士のような作品。

    物語は諏訪の養蚕農家。
    大東亜戦争終結、つまり敗戦の日から始まる。
    家、国、命。
    それぞれに守るべきものがあり、そしてどう生きるかの制約は大きい時代の人々の生と死が交錯する…。
    戦争が始まる前から戦争は始まっていて、戦争が終わっても戦争は終わらない。それはきっと現代も同じ。

    正直、いわゆる「思想が強い」分類ではあるが、かといって特定思想を押し付けてくるものではない。史実を調べ上げた上の創作に嘘はない。
    特殊な状況と普遍的な価値観の選別が見事としか言いようがない。

    16年前の作品のリライトだそうだが、よくぞここまで"精錬"し、これだけの役者を集め、そしてこのお盆の時期に上演した!

    ネタバレBOX

    僕は本間理紗さんに注目して観ていたので、中盤まではわりと地味な役どころ?と思っていたけれど、それがかえって物語をわかりやすくし、さらには終盤の急展開で「あーあーあーあーあーーあーーーーー!!」ってなりました。ちょっと"動機"が薄いかな、という気はした。
    大旦那は修治と明子の兄妹を引き取ったが「家族」としては扱わなかった。どう育てたかったのだろうか…。
    いつか明子と絹代の約束が果たされる日は来るのか。生きてさえいれば!

    最新の本間理紗が最高の本間理紗でした。
    常に"最高"の記憶を更新し続ける女優。

    出演者の皆様、カーテンコールから10分20分で2026年の「こちらの世界」に戻ってこられるのもスゴイと思います。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。
    戦前からの家制度と戦後の世相、それを諏訪の旧家藤盛家を通して紡いだ社会劇でありサスペンス劇。狂言回しというか 語り部による抒情的な台詞が 家業である蚕糸業に擬えた象徴的なもの。蔟、蚕、繭、蛹そして蜘蛛といった言葉、そこに込められた思いこそ柵(シガラミ)であり自由に飛べない当時の状況を端的に表している。

    出征した兵士、そこには お国のために という思いと死にたくないといった人としての葛藤、苦悩が描かれている。そして帰還しても なお戦争責任を負わせる理不尽さ。蜘蛛と巣にかかった獲物との関り、それが空虚や虚脱という社会状況を表しているよう。戦争を背景に、家族(制度)の中に人間や社会といった関係性を巧みに描き重層的に観せる。そこに作・演出の吉水恭子さんの問題意識を観るようだ。

    全体的に戦後という混乱期、先の見通せない不安 そして柵的な意味で蔟を象徴しているような舞台美術が秀逸。シンプルであるが重厚といった雰囲気、しかし実際は 柱と梁だけという隙間の大きな空間、そのアンバランスさが当時の状況そのもの。ただサスペンス/ミステリーとしての動機が しっくりこないところが気になった。
    (上演時間2時間10分 休憩なし)追記予定

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    さすが風雷紡!です。『ウッカーガマ』を観劇したときと同じ感動を今回も得ました。広い意味で戦後処理を扱ったものですが、半島の人たちの恨みがこういった形で晴らされるとは…です。あと、家制度に縛られていた昭和をうまく描けていたなと思いました。繭美役のハグハグの生粋さんの演技が光ってましたね。あの嫌味な感じはなかなか出せませんよね。役者魂を感じました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    出だしに流れる弦楽器(?)の不協和音がその後の不穏な展開を予感させました。終戦直後の諏訪の旧家の卓を囲む家族らの中の不協和音、家の内と外の不協和音、それぞれの人間の内に存在する不協和音が続き、それを醸し出す役者の真剣な演技で緊張感が途切れず、気持ちがざわざわしました。サスペンス要素が盛り込まれ興味をひきます。終盤はややてんこ盛りの感がなきにしもあらずでしたが、面白かったです。セットも工夫が凝らされ効果的でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    これは見事なミステリー。妙に静まり返った劇場の雰囲気にはちょっと緊張を強いられましたが、時代背景や因縁を絡めた展開は大いに楽しめました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初日を観ました。
    照明、音響、役者、美術。本当に総合点が高い、高品質な芝居で、L字2面客席のB1の使い方も抜群だと思う。
    シンプルなようで作りこまれた美術は天井の梁、縁側まできちんとしていて、複数ある掛け時計(時刻はそれぞれ違う)がまた良い。
    ここに立体感ある音響と抑制のきいた照明があたって、時を跨いだ家屋が出現していた。
    たぶん、客席を一列減らして庭として広げていて、この庭を用いた演出も良かった。

    タイトルを僕がつけるなら、お蚕殺人事件かな。
    この家の家業だよね。その蚕と蜘蛛ってモチーフが抒情的で。
    特に前半は、心理描写とか、僕は萩尾望都の漫画を読んでる時のような面白さを感じた。

    ミステリーの真相としては、シンプルですね。
    登場人物は怪しい人だらけで、その辺り楽しい。
    そういう謎解き要素よりも、家族の複雑な関係性や覆いかぶさる時代性が見応えあるところだと思います。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    吉水女史の処女作をリクリエイトとの事。地方の旧家を舞台にした金田一耕助が登場しそうなサスペンス色濃い物語に魅入らされ、風雷紡を貫く「事件の背後に時代あり」の原型を認めた。
    敗戦を知らせる玉音放送。家督を継ぐのは誰か、出征中の次男の名が当主の口にも上るも、聡明だが病弱の長男の娘にスポットが。家に出入りする武道の指南役(今で言う家庭教師のような?)の子息が軍服姿で現われ、婚約者にと紹介される。これを見て苛立ちを見せる長男の妻は、家内を賢く切り盛りする姿にも旧弊さが滲む。前掛けをした使用人の女性ら、故あって住んでいるらしい謎の男女(白シャツに黒のスラックス、スカート)、舞台上に幾つもある柱時計。敗戦直後の世相を背景色にした「家」という異空間が導入から際立つ。この空気感、照明の届かない暗部がミステリー性を静かに煽る。謎の存在を謎のまま、台詞に多くを語らせず、その心地良さに酔わせて飲み込ませる。B1を巧く使った劇空間、美術照明(特に照明)は殆ど完璧に思えた。

    ネタバレBOX

    代々養蚕業を営んだ地方の名家である藤森家の揺らぎ。冒頭家長である藤森泰彦(斎藤圭祐)は皆を集め、家の行く末を案じた結果、自身の孫、その名も絹代(吉水雪乃)に婿を迎えると語り、胴衣をまとった和田英(福来せんり)に「えい」と呼ぶと「はい」と応じた英が息子を連れて来る。軍服の好男子・盛一(生島誠人)である。
    戸惑う絹代に彼は「私は、待ちます」と告げる。それは家のために婚姻を急いでいるだろう泰彦に対し「個人の意思」を表明したに等しく、その誠実さを絹代は受け止め、二人の恋物語は静かに進行する。
    が、一方不審な事が起き始める。「不審」とは最初判らない。この所咳き込みの出ていた泰彦が居間で再び咳き込んでうずくまり、家族が見る中粉薬を絹代の介助で飲んだ直後、悶え苦しみ、絶命する。
    現社長である泰彦の長男・雅彦(山村鉄平)が家の者らの頼る所となるが、元々家の者は(泰彦の意向を汲んで)次の家長は出征中の次男・龍彦(高橋亮次)であり、生死不明のため婿養子の話があった、という認識である。そしてある日、龍彦の所属した南方の部隊が玉砕した、との報を受ける。(台詞にあったか失念したがフィリピン・レイテだったか。史実として玉砕の報は戦中は控えらえていたのか、戦死の報は家族に伝えられたのではなかったか・・劇中では確か敗戦直後に伝えられた事になっていたが、地方によってはそういう事もあったかも。)
    ところが父の死の直後、外地で龍彦と行動を共にしたという地元の友人・小口一政(祥野獣一)が、龍彦生還の一報を伝えて来る。程なく現われる龍彦は、見る影もない姿。脳に障害を負い、記憶は喪失し、パニック障害を持つが、子供のような言動を繰り返す。「未亡人」から妻に返り咲いた真澄(月野原りん)は動揺する。数日後、雅彦が「龍彦に家督を譲る」と宣言する。その妻・繭美(生粋万鈴)が激しく抗議する。こんな事があって良いのか・・(裏で彼女は夫に、貴方はずっと私の事など考えては下さらなかった・・と涙ながらに罵る)。この雅彦と龍彦のキャラについては過去に言及する台詞の中で、龍彦が持つ天性の楽天性や明るさ、天真爛漫さが説明される。
    家族内の情報を観客に対してアナウンスする使用人らと対照的に、謎の伏線を打ち続ける存在が、朝鮮に進出した泰彦と出会い、日本に引き取られたという兄妹・林修治(杉浦直)、明子(本間理紗)。兄は片足を引き摺り、手拭いを腰に下げ、住み込みの使用人として雑用に勤しみ、家が面倒を見ている。妹は世の価値観に染まらない批評的な視線を秘め、兄だけが時折彼女を諫める姿がある。明子は泰彦への思いがあり、またある時絹代の純真さに打たれ「約束」の指切りを大事に胸に仕舞うが、泰彦といい絹代といい彼女の内部では偏執的な拘りとなる様子がある。
    龍彦が気を許す唯一の男・小口も時折龍彦の様子を見にやって来る。
    泰彦の妻・貞(下平久美子)も夫亡き後、良心をもって助言を行なう権威ともなるが、その死が訪れる。第二の死。龍彦の社長就任の祝いの席とする流れで、繭子が「では、例の酒を」と明子に命じて持って来させる。絹代が注いだ酒を、「いいえこの家の家長はまだ私です。私から」と酒を口にし、倒れる。龍彦を狙った殺人だ、との認識が現代のミステリーならすぐさま浸透するものだろうが、即「殺人」→「警察」「調査」とは現代の感覚であり、その認識の緩慢さをさほど違和感なく見せ、人間の台詞に人間を語らせる事を可能にする。作劇的には龍彦を歓迎しない繭子が手配した酒で人が死ぬ、という運びで人間ドラマが描かれている。結果的に繭子は犯人ではなく、ある夜実の娘の絹代と母が語る場面があり、赤子の絹代が自分に全くなつかず、乳も飲んでくれなかった事を語る。その逸話はこの家での自分への処遇を象徴するもので、耐えた母の来し方、言わば弱さを娘の前で吐露するのも、義母の死という異様な空気によるものだろうが、この会話の中で娘が母に「貴方を信じます」と言い、自分が母を守るとまで言った後、照れ隠しのように母が娘に水を所望するが、指示を受けた明子が水差しを持って来た結果、繭子は亡くなる。
    小口が実は刑事でもあった事、最後には絹代の婚約者・盛一のカミングアウトもあるのだが、殺人の犯人は観客に示唆されていた通りであった。

    殺人の動機は、うまく説明されていない。彼女が激した口調で語った言葉は、自分でも説明しきれない事を説明しようとした結果、的外れな言葉を吐いてしまったのだろう、くらいに受け止め、私らがそれぞれ補足するしかないものかな、と。
    (これについてまた少しだけ、後日把捉してみる。)
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ミステリー要素もありながら、家族や戦争を軸に描かれた人間ドラマ。ミステリーとしてはそれほど複雑ではありませんが、戦争によって変わってしまった人々の苦悩や、家族の中にあるそれぞれの思惑が丁寧に描かれていて、物語に引き込まれました。特に虫を使った比喩的な表現が印象的で、作品の持つ不穏さや人間の心の奥深さを感じさせます。キャストの演技も素晴らしく、緊張感のある重厚な舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2026/08/13 (木) 19:00

    諏訪の旧家が舞台の重厚なミステリー仕立てで、「家」の持つ不条理を炙り出す。124分。
     2010年初演の『墨を塗りつつ』を改作しての上演だが、初演は観てない。蚕農家から製糸業へと進出して財を成した藤盛家では、終戦の日に当主の泰彦が毒殺され…、の物語。その後、連続殺人となり、ミステリー仕立てながら、戦争の不条理や「家」の不条理などをベースとしつつ、時代が変わろうとする時期のあれこれが展開される。重厚な舞台で笑うシーンはほとんどないが、緊張感を持って観ていられるのが心地好い。役者陣も丁寧かつ迫真の演技で、安心して観ていられる感じが良い。推しの吉水雪乃はいつもながらの「豹変」的演技で魅せるが、時折、ストーリーを離れた台詞を語る本間理紗に印象が残る。舞台美術は単純だが美しく、ライティングの妙が光る。セリフフェチの私にとっては、気になるセリフがちょっと…。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    作者が描きたかった要素や雰囲気はわかるが、それがあまりストーリー展開に反映されておらず、並べられた場面の意味が薄い印象。作者が書きたかったエピソードを必ずしもそれと合わない横溝正史的な世界に入れて混濁させてしまったような気がしてならない。

    ネタバレBOX

    蚕の繭の象徴や大旦那の霊が動き回っては様々語るのは興味深いが、他の登場人物たちは何も志を持たず何も行動せず何をして日々を過ごしているのか不明で、ただ存在しているだけにしか見えず、だから物語として動かない。発生する殺人事件もほとんど意味がなく陳腐でミステリーとはとても呼べない。一家に隠された秘密があったわけでもない。あれだけあからさまな毒殺が発生しているのに誰も気にせず騒がないのも不思議過ぎ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     舞台美術は至ってシンプル。八畳の間の中ほどに木製の大きなテーブルがでんと据えられている他はコーナーの一角に神棚が設けられており、側壁中央、部屋の奥中央、廊下の壁それぞれに大きな掛け時計が掛けられている。劇空間入口の客席側にこの家の当主の趣味であろう、植木の鉢が幾鉢か置かれている。この家はこの当主が養蚕農家から発展させた絹織物の工場或いは絹糸を生産している模様。尺は休憩無しの125分。一瞬たりとも目の離せない舞台だ。観ておくと良い。ネタバレは途中まで上げておく。
     開演前には太平洋戦争時の大きな作戦に関する大本営発表のラジオでの戦果報告(敵損害情報、我が国被害状況等が日時、作戦名と共に流されている。オープニング直前に流されるのは、国防婦人会によるとされる前説、中々工夫が凝らされているのがグー。(いかようにも深読みできるという意味で華5つ☆追記後送)

    ネタバレBOX


     さて、オープニングで流されるのは所謂玉音放送である。裕仁のこの有名な放送が全国レベルで流されたことは(沖縄でどうであったか? 恥ずかしながら小生は存じかねるが)聞いた方々も多かろう。裕仁が戦争責任をキチンと負わなかったことは一応、肝に銘じておいて欲しい。
     この家には現在でいえば家政婦さんや使用人が何人もいるが、何せ、文明開化以降大日本帝国が経験した大きな戦争で完敗したと国民総てが認めざるを得なかった太平洋戦争は、日本国民の大多数にとって驚天動地の事態であったことはある程度想像できなくはあるまい。例えば現在進行形のウクライナVSロシアの戦争についてもウクライナ人は兎も角、ロシア人の多く(チェチェンの人々、コサック、ウラジオストック周辺等周辺地域や少数民族の多い地域・人々等リスクの多いことを担わされてきた、即ち外れくじばかり押し付けられる人々を除けばサンクトペテルブルグ、モスクワ等ロシア人中心の地域、ロシアの光の当たる部分に住む住民にとってはつい最近、自分達の集住地域が実際にウクライナのドローン等の攻撃に晒される迄戦争を実際に行っているという意識が弱かったことをみれば案外「遠いこと」だったに違いない。少なくとも極めて意識的に世界情勢を見、知り、分析し、統合して思考する合理的精神を持つ者を除いては、戦争の実態は見えていなかったという証言は嘘ばかりとは限らないのかも知れぬ。何れにせよ、戦争が始まれば当事国のみならず関係諸国、諸団体、諸人物は基本的に嘘を吐く。これが戦争の実態である。自分はかつて赴任していた任国で起きたクーデタの際、一緒に行動を共にしていた或る省の局長と共に、日夜それらの諸情報を入手していたから改めてその実態が、正しく事実でしかないことに愕然とせざるを得なかった。時代も場所も異なるが戦争が起こってしまえば起こることの本質に殆ど変わりはない。今作の背景にあるのは、このような個々人の力では抗うことの極めて困難な事実の実態が至る処、否、全面的に我らの足元を掬っているのであるという事実だ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    終戦直後、とある名家で巻き起こる殺人事件を描いた上質なミステリー舞台でした。誰が何のためにというスリリングな展開に引き込まれ、最後まで目が離せませんでした。
    これまで戦争を題材にした演劇は色々観てきましたが、今作は単なる悲劇や謎解きにとどまらず、戦争が人々の心や家庭に落とす暗い影、それぞれの「囚われ」をとても深く丁寧に描いていて、胸が締めつけられるような切なさが残りました。
    特に下平久美子さんの演技が圧巻で、作品の重厚感をぐっと引き立てる光る存在感があり深く心に残りました。ミステリーとしての面白さと、人間ドラマとしての深みが見事に融合した作品でした

  • 実演鑑賞

    終戦直後の旧家でのミステリー。

    ネタバレBOX

    ミステリーとしては弱い。
    人間ドラマとしては面白い。

    明子の存在がきわだっていた。

    本当に「寄子」っぽいところありましたね。

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