幻戯【改訂版】 公演情報 幻戯【改訂版】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-20件 / 21件中
  • 満足度★★★★★

    男の性(さが)
    粘りついて絡みついて逃れられない男の性(さが)を見せ付けられた、圧巻の舞台でした。5年前の作品を再構成されたとのことで余計なものをそぎ落とした物語はギュッと濃縮されており、時間を忘れてただただ見惚れて楽しみました。こんなに居心地が悪いような内容なのに、何でこんなに惹きつけられるのか。じっくり溜めのある間の演出がヒリヒリと緊張感を高めていました。そしてその緊張感に耐えうる適役のキャスティングでどの役者さんもとても魅力的でした。

    ネタバレBOX

    劇中に(売春する行為に対して)「割り切っても割り切れなくても(不特定多数の男に体を許すことが)辛いならばどうやって折り合いをつけるのか」。相手を尊重して大事にしたい気持ちとは別物として、肉体的な快楽を求めたいのは男の性なのだろうか。自分自身を省みても、この性(さが)から逃れられてないなと実感し、身につまされる作品でした。

    黒崎(男)は新進の小説家・板倉(男)を馴染みの売春旅館に連れてくる。板倉は30代後半でも童貞で、「行為をすることで自分が大事にしていたものを失うのが怖い」と性交を拒んできた。板倉は自分の相手をしようとする玖美子(女)の誘いを断り、その場に居合わせる形となった口の利けない布見繪(女)と付き合いだす。次の機会に再度、旅館を訪れた板倉は「気持ちと体を一緒に考えていたから良くなかった。別々に考えればうまくいく」と玖美子を純粋に性欲のはけ口として交わる。交わった事を想起させるシーンで暗転し、フェードインした照明に浮かんでくるのは、先程まで玖美子の着ていた衣装を着た布見繪の姿だった。徐々に精神的に追い詰められていく玖美子は自殺し、板倉は夜な夜な遊び歩いて売春していることが提示され終幕する。

    「幻戯」という公演タイトルに思いを馳せてみました。売春する仕事を迷いながらも10年以上続けてきた布見繪を「彼女がこれ以上汚れないように、僕は彼女には触れない」と言い家に囲い込む板倉は、一方で性欲の発散のために売春を続けます。口の利けない女に自分の思うとおりの理想像を押し付けて、理想像=幻想と戯れて生きる男の自分勝手さ、傲慢さが浮かんでくるように思います。実際、玖美子を抱く時の板倉のおぞましい存在感、こんな表情を人が見せるのかというような迫真の演技でした。そして、それでも客だからと受け入れる玖美子の姿は買われる側に選択肢のない悲哀を強く感じます。

    ここから、勝手に観劇後に自分なりに物語を妄想してみました。布見繪は本当はいないんじゃないかという説です。その姿を見た者が板倉以外いない事(あの子とか口の利けないお姉さんと別の呼び方で存在が提示はされますが)や、そもそも板倉と布見繪を結びつけた日記を書いたのが玖美子なのではというシーンが提示されます。そうだとすると、板倉は玖美子と付き合っていたのか、だとすると玖美子との精神的なつながりを家に置きながら、旅館で玖美子と肉体的に交わっていたのか?物語の冒頭、玖美子の死を悼むシーンで「ある部分では死んでいるが、ある部分では生きている」というセリフが投げかけられました。もし死後も布見繪という名を借りた板倉の幻想の中で玖美子が生き続けるんだとすると、その狂気は一層深化するなと思いました。物語終盤に、暗い部屋の中で一筋の強い光の中で独白する玖美子の姿をした布見繪の姿、その光と影は同一人物の中に同在する2人の人格なのかなと思いました。

    玖美子と布見繪の関係は、はっきりしませんでしたが、いずれにしろ強く印象にこびりつくような濃密な空間を楽しめて、色々考えさせられました。
  • 満足度★★★★★

    役者さんの素晴らしさ
    濃密な空間、あっと言う間の時間を過ごしました。とにかく凄かった。再演をやられるだけのある作品。次も必ず観に行きます。

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい!
    役者、全てが素晴らしい!
    真夏の夜に怪談を聞き、最後のロウソクが消えた感覚。
    現代の、男女の、性にまつわる怪談。

    無駄な卑猥なシーンもなく、大変面白く拝見しました。

  • 満足度★★★★★

    凄い
    圧倒された。
    最初から最後まで目が離せなかった。
    感情の流れが凄い。
    良い時間を過ごせた。
    終演後もしばらくドキドキが続いた。
    好き嫌いは出やすい題材だと思うけど、凄く私好みでした。

  • 満足度★★★★★

    真実は?
    何ともいえない不思議な空間と余韻の残るステージでした。

    ネタバレBOX

    二人?の女性の対比が秀逸でした
  • 満足度★★★★★

    2×2
    素晴らしい幻想譚でした。

    ネタバレBOX

    耳は聞こえるのに喋れない…、不思議な女性だなと思い、娼婦になって11年…、私と同じ…、ふーんと思っていたらそういうことでしたか。

    心と身体を割り切っていないと娼婦は務まらない…、あくまでも金のためにやっているのだからその通りだと思い、また固定観念としてそう思っていました。それが、心と身体は割り切れるものではない、無理に割り切ろうとする者はお客に惚れてしまったときにもたない、精神が壊れてしまうという女将の話に新鮮な驚きを感じました。

    多重人格物は嫌いですが、これは二面性の話ということで納得できました。さらに、この娼婦だけでなく、男の方もプラトニックな面と遊び人の両面に分裂し話が膨らみました。妄想は好みです。作者の発想力に感服です。

    2×2の組み合わせ、遊郭での肉欲×肉欲、ねえってばあ×いえそれは、やめてください×おらおら、男の家での愛しています×愛してる。

    娼婦が自殺した後も女は男の家にいる、素晴らしい幻想譚でした。
  • 満足度★★★★★

    素晴らしい舞台でした。
    2人の女優が重なり合う部分の構造が面白い演出だと思いました。

    ネタバレBOX

    主人公の男が本当に好きになった女郎には手を出そうとせずに精神と肉体を分けて考える屈折度が面白味を増した舞台でした。

    役者では杉本隆幸さんの演技力が光った舞台でした。大満足です。
  • 満足度★★★★★

    幻戯【おすすめ】
    どのような劇団か、どのような作品をされるのか、知らずに観ました。震えました。素晴らしいです。暗転が嫌いなのですが、あんなにねっとりした暗転は初めてです。おすすめです。

    ネタバレBOX

    女性はこうるべきだ、という男の妄想をねちっこく。どこまでも男目線。しかし最後のおかみの態度にグサッと。思い当たること多々でホロホロしながら帰りました。すごかったです。。
  • 満足度★★★★★

    無題619(13-044)
    19:30の回(晴)。18:45会場着、受付(全席指定)、19:05入場(18:30受付開始、19:00開場)。斜めにせり出した舞台(和室)、X~E席までの6列。左右のブロックで見え方が違う。座ったのは左奥。上手が旅館の部屋、下手は裏庭、枯れきってしまったのかとても生きているようにはみえない木が1本。19:25前説(場内アナウンス、喫煙シーンがあり気になる方はスタッフまで)、19:31異様な音が近づき、暗転~21:04終演。アフタートーク21:09~21:35。

    5作目になりました。「不滅」からずっと息を殺しながら見続けてきたような気がします。神経がむき出しになり直に刺激を受けているような。終演後、台本と「昆虫系」のDVDを購入

    ネタバレBOX

    布見繪、玖美子、日登美...この三人にみえている世界は何だろう。表と裏、そしてその両方。濃厚な欲望が沈み込む空間で切り替わる「表と裏の役」。

    薄灯りの下でうごめく感覚。

    童貞..「ここ」と「ここ」は分けて考えることができるのか...普通はできるようにできているのだろう。
  • 満足度★★★★

    空気感が素晴らしい。
    最前列で鑑賞。
    客席にせり出した純和風舞台装置といい、性風俗をモチーフとしたり、こんな舞台好きです。

    ・・・黒崎と布見繪の人物描写をもっと掘り下げて、絡めて欲しかったです。

  • 満足度★★★★

    観た方がいいよ!
    娼館のお話しなので好き嫌いがあるかもしれませんが
    90分位、静かで濃密な空気を味わいました。
    男と女が堕ちてゆく場所は違うんだと思わされた舞台
    奇憚ではありますが、女性の悲しさの方を強く感じましたね
    役者さんも其々いいし、舞台も演出も良い!
    観ていて大きな謎が残りますが、
    アフタートークで仮・回答を頂けて助かりました。
    この物語の後、彼の身がどうなっているのか?気になります。

  • 満足度★★★★

    たまらない
    開演前から、すでに芝居に取り込まれている。セットといい照明といい、これがまたたまらなく、独特な心地よさを感じた。

    観始めるとすぐに、永井荷風の濹東綺譚がふと頭によみがえった。

    本作は説明にあるとおり、ゆがんでおぞまましいが美しい姿になっていく。
    また、暗転時のモノローグも、効果を挙げていたように思う。
    やはり鵺的は鵺的であり、今後も鵺的出会って欲しいと感じさせられた。
    満点でないのは下手の端っこで、後ろから2列のため、よく見えない場面が多々あったので。
    時間がなっかたので、最穂のアフタートークを聞けなかったのが残念であった。

  • 満足度★★★★

    幻戯。
    まさしく「まぼろし」の「たわむれ」ですね。想像の余地のある終わり方が面白かったです。気持ちよさとか爽快感なんてまったくないのですが(苦笑)、なぜか悪い気はしないんですよね。

    ネタバレBOX

    アフタートークのとき、舞台端の木の下に花束が手向けられたままになってて気持ち悪かったです(笑)。見えてはいけないはずのものが見えてしまいそうで…。
  • 満足度★★★★


    面白い。

    ネタバレBOX

    新進の小説家・板倉(今里真)が黒崎(平山寛人)に売春宿に連れられてくる。30後半の板倉は、16くらいから売春してたという玖美子(秋澤弥里)を前にしてもその気になれないと帰ってしまうが、その時会った唖の売春婦・布見繪(奥野亮子)と付き合いだす。そして、今度は玖美子を買いにやってくるが、そこを基点に玖美子の人格が壊れていき、自殺してしまう…。

    心とカラダは分けているという性に対してイケイケな玖美子、そんな玖美子が理解できず悩み続ける布見繪、布見繪と付き合い心とカラダを分けるってことを知った板倉。心って何、カラダって何、ってな舞台に90分があっという間だった。
    覚醒した板倉に仕事だからと抱かれた玖美子が布見繪に変わる手法は見事。黒崎は「別の人格ではない」ってなことを言ってたけど、玖美子の中の布見繪のような心が一気に吹き出したということなのか。
    終盤、女将の久乃(佐々木なふみ)が心とカラダを別に考える人間は続かない、と言っていたところで再度舞台が歪む。そして、時折入るナレーションは(しゃべれない)布見繪(の独白)なのだが、途中からは玖美子のしゃべりのようにも聞こえ出してくる。すごい揺さぶりだと思う。

    派手なシーンや濡れ場があるわけでない静かで暗い作品だったけども、人を不安にさせるというか落ち着かない気持ちにさせるというか、そんな空気に触れられる舞台だった。
  • 満足度★★★★

    上手い
     飛び石を配し、上がり框には靴脱ぎ石を据えて風格を表した遊郭。無論、体裁は旅館である。男と女を描くのに、何も現代の高級マンションの一室を選ぶ必要など更々ない。ヒトの歴史始まって以来の古くて新しい関係なのだから。寧ろ、ここで用いられたような風情のある遊郭の方が遥かに相応しかろう。開演直前の音響も効いている。照明も見事だ。更に劇中、玖美子が白熱球から赤い照明に変える辺りも、気の利いた遊女の客あしらいの巧みが現れ、良いシーンだ。他にも上手い、と思わせる個所が何か所もあった。
     頭でっかちになり過ぎずに、頭でっかちの失敗や滑稽を余韻として残す手法も見事である。何より、男と女の間にある存在の位相を通して、我らヒトの持つ原存在の闇を浮かび上がらせることに成功している。この為、終演後、観客の心に深く残る余韻を残した。

  • 満足度★★★★

    空気感はさすが
    今回も、物語が持つ重苦しく、またそれぞれのキャラがズシッと感じさせる空気感はさすがでした。
    サブキャラにもう少し何かが欲しい気はしたが、今回もよかった。

  • 満足度★★★★

    パートナー
    改め、「高木登の分身」だね。
    秋澤さんは実にけしからんな(笑)

  • 満足度★★★★

    虚しい話だね。
    割引きチケットだたので、当然なんだけど一番後ろで椅子も座りにくかった。いい芝居だったので、ケチらなければ良かった⁉

    ネタバレBOX

    男も女も、表面とは裏腹な心の蟠りが生霊とも云える存在を生みだし、共に求めあう物として出会ったのに、男は執ように元の女を傷つけ追い詰めてゆき、とうとう自殺させてしまう。 心と身体を分け、身体のみを切売りする様な場所で出会い、本当に好きになってしまい、歪んだ愛憎により、破滅に向かうしかなかった悲しい男の話なのかな。 そんなに歪まずに、手をとって逃げちゃえば良かったのに!
  • 満足度★★★

    初「鵺的」観劇
    前から独特なタイトルが気になっていたのですが、
    今回は今里さんがご出演されるので観に行く事にしました。

    悪くはないけれど、全体的に中途半端な感じ。
    遊郭の設えは時代掛かっているのに衣装はやけに現代風だったり、
    着物の所作がぎこちなかったり、
    そんなところが目に付いてしまいました。

    ネタバレBOX

    二重人格で、ふたりの女優さんを使う着想は面白いと思いましたが、
    結末が分かり辛かったです。
  • 名は体を表す
    劇団名、作品名から醸し出される世界が舞台上にしっかりありました。堪能。

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