女性映画監督第一号 公演情報 女性映画監督第一号」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-3件 / 3件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/02/10 (月) 14:00

    凄く良かった。そして今ザラザラとした思いが心に澱の様に残っている。題名から想像していた伝記的なことだけでは無く、他の要素も重ねて問かけて来る!出演された皆さんが素晴らしい。そうキャスティングがはまっているのだ!続きはネタバレbox にて

    ネタバレBOX

    劇場に入ると、舞台の上部に梯子状の物が連なって吊るされている。ところどころ切れていて不完全。フィルムなのかとも思うが、この舞台美術が最後のシーンに関わって来るのだ (終演後、鈴木アツトさんに伺ってそうか!と判った訳ですが)
    そしてブロックで構成された舞台でこれまでの拝見した作品と違って素舞台に近い。
    最初の10分から20分ぐらいでぐいっと舞台に引き込む導入部。これも最後にそう繋がるのかと言うことになるのだけど。
    細かく場面の時代が進み、行き来する。大道具、小道具も、出捌けも見せて、その姿も場面転換を認識させて良い具合だ。
    物語は、アフタートークに登場された池川玲子さんが述べておられた様に、板根 田鶴子が持つことになる 2面性、題名から評伝劇で、日本で最初の女性の映画監督を描くのだと思っていたのだけど、満州で映画監督として居たことも過酷な要素として、時代に巻き込まれてしまうのは避けられないのだけど、それが最後に描かれる。彼女にその事実が残酷に付きつけられる。
    でも最後のシーンは、後で教えてもらったのだけど、板根 田鶴子が虚空に手を伸ばすシーン、あれはあの舞台美術に手を伸ばしていたのだ。このシーンが、最後の展開でザラザラとした思いが心に澱の様に残らせる作品に終わらせず、未来へと繋ぐのだと言うことを思わせてくれたと思う。
    9人の俳優達が素晴らしかった。細かい場面転換に合わせ、何役も演じられて、それぞれが良い。主役の万里紗さんが良い、その相手役の内田健介さんが素晴らしい、その妻役の佐乃美千子さんが、と書き始めると全員を挙げることになってしまう。皆さんが素晴らしかった。
    吉祥寺シアターの舞台の奥行を使った演出も良かった。
    そしてアフタートークの「『帝国』の映画監督坂根田鶴子」の著者、池川玲子さんの話から、板根 田鶴子の説明を聞く機会を戴けたことも良かった。終演後ロビーで満州のことを研究された方とお二人で話込んでおられたのを横で立ち聞きさせて貰って、そこからもそうなのだと言うことを伺えた (立ち聞きしてしまいましたと後に話に加えてもらいました)
    個人的には劇団印象の作品は 5作目だけど、鈴木アツトさんのベスト。ブラボー!
  • 実演鑑賞

    満足度★★

    二年前に「犬と独裁者」と言うスターリンの若き日をネタにした本が面白かったので楽しみに出かけた。しかし、これはいけなかった。スターリンは謎の多い外国の暴君だからフィクションになるが、こちらは主人公の女性監督も、その合わせ鏡で登場する溝口健二も私ですらかなり知っている。満映がこんな楽園風ではなかったのは史実として材料もでている。(史実をこのようにいいとこ取りするのはタブーである)タイトルを始め実録であることを強調しているのがまずいと思う。フィクションだからどう作っても良い(良いというものでもないが)となるのはやはり関係者全員があの世に行ってから、あと十五年といった時間は必要だ。戦前の映画会社の女性労働者の群像も、国際劇場のダンサー風でこれもどうかとおもう。当時を知る老年者の一人としてかなりしらけた。前作でも感じたが、この作者、作と演出のバランスにかなり研究の要アリで、振付など同じ繰り返しがかなりあるのも気になる。下手なミュージカル風にする必然性など何もない。
    俳優は万里紗、佐野美智子が演出の線で健闘しているが、元気の良いところが単調であまりにも今風。見ていてかえってはぐらかされてしまう。脇だが全作でも良かった武田知久、この人は細かく柔軟でいつ見ても成長している。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ストーリーと舞台の使い方がすばらしく感じます。

    ネタバレBOX

    映画監督第1号として生きることが険しい道のりであったことが、緊迫感と相まって、ずっしりと伝わってくるのです。坂根田鶴子の生きざまはまぶしく思えました。男社会の理不尽さなど、女性にとって、当時の生活することの難しさが痛切に感じました。

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